本記事では、近年注目される360度動画について解説します。
よく混同されるVR動画との違いや、360度動画の作り方、360度動画の活用事例を紹介します。
360度動画の制作をご検討されている場合には、ぜひ本記事をご参考にしていただけますと幸いです。
目次
360度動画とは?
360度動画とは、視聴者が映像の中であたかもその場にいるかのように周囲を見回せる動画形式のことです。
通常の動画はカメラの向きに合わせて撮影範囲が固定されていますが、360度動画では特殊なカメラを用いて全方向を同時に撮影するため、視聴者は自由に視点を変えながら映像を楽しめます。
主にスマートフォンやVRゴーグル、PCで視聴でき、特にVRゴーグルを使うと没入感が高まり、現実さながらの体験ができるのが特徴です。
また360度動画はエンタメや観光、教育、医療分野など幅広い用途で活用されており、現場に行けない人々にもリアルな体験を提供できる点が魅力です。
例えば、遠隔の観光地を360度動画で紹介すると、その場所の雰囲気を視聴者にリアルに伝えられます。
360度動画は、視覚的な情報だけでなく、没入感を通じて感覚的な価値を届ける新しいメディアとして注目されているのです。
VR動画とは?
VR動画とは、仮想現実(Virtual Reality)技術を使って視聴者をデジタル空間に没入させる動画です。
360度動画と似ている部分もありますが、VR動画は単に周囲を見渡すだけでなく、視聴者がその空間に「入り込む」ような感覚を提供します。
視聴者があたかも自分で移動しているかのように、空間の奥行きや距離感を体験できるため、よりリアルな没入体験が可能です。
視聴には主にVRヘッドセットが使用され、頭の動きに合わせて視点が変わるため、現実と見間違うような深い体験を得られます。
VR動画はゲームやシミュレーション、医療トレーニング、企業の研修などで幅広く活用されています。
例えば、建設業界では設計段階でVR動画を使用し、建物の内部を仮想的に見学できるため、完成イメージをより正確に共有可能です。
また医療分野では手術シミュレーションをVR動画で行うことで、医師が安全に練習できる環境が提供されています。
このように、VR動画はエンターテイメントだけでなく、専門分野においても革新的なツールとして注目を集めているのです。
360度動画とVR動画の違い
360度動画とVR動画はどちらも没入感を提供する映像技術ですが、その構造や視聴体験には異なる点があります。
以下の表に、代表的な違いをまとめました。
360度動画 | VR動画 | |
視点の変更 | 視聴者が自由に見渡せる | 視聴者が仮想空間内を移動可能 |
ヘッドセット | 必要ではない(スマートフォンやPCでも視聴可) | 必須(VR専用ヘッドセットで視聴) |
臨場感 | 高いが実際の位置移動はできない | より高い没入感とインタラクティブ性を提供 |
主な利用分野 | 観光、教育、イベント体験 | ゲーム、シミュレーション、トレーニング |
上記のように、360度動画は視聴者が映像内を見渡すことに特化しているのに対し、VR動画は視聴者が仮想空間に「入り込む」ような体験を重視しています。
ここからは、視点の変更方法とヘッドセットの違いについて詳しく解説します。
視点の変更
360度動画とVR動画では視点の変更の仕組みが大きく異なります。
360度動画では、視聴者がその場で上下左右に視点を動かして映像全体を見渡せるのが特徴です。
スマートフォンやPC、またはVRゴーグルを使っても視聴でき、視聴者が「その場にいるような感覚」を味わえるのが魅力です。
しかし、あくまでその場から見渡せられないため、映像の中を移動できません。
一方、VR動画では視点の移動が可能で、仮想空間内で自分が移動しているかのような感覚を体験できます。
特にVRヘッドセットを装着した際には、頭の動きに合わせて視点が変わり、映像の奥行きや距離感がリアルに伝わってくるため、映像に「入り込む」感覚が強まります。
この違いにより、360度動画は風景や観光地紹介など「その場を見渡す」体験が求められる分野で活躍し、VR動画はゲームやシミュレーションのように「その場で行動する」体験が必要な用途に適しているのです。
ヘッドセット
360度動画とVR動画では、ヘッドセットの役割と必要性も異なります。
360度動画はスマートフォンやPCでも視聴できるため、特別な機器を必要としない点が強みです。
もちろん、VRゴーグルを使えばより臨場感が増して映像を楽しめますが、ヘッドセットがなくても360度映像の魅力を味わうことが可能です。
手軽に視聴できるメディアとして観光業やイベント、教育分野などで広く利用されています。
一方、VR動画の視聴には専用のVRヘッドセットが基本的に必要です。
VRヘッドセットは、視聴者の頭の動きを感知して映像内の視点を変える仕組みになっており、現実のように視点が移動することでより深い没入感を体験できます。
VR動画はこの専用デバイスがあることで初めて映像の特性を最大限に活かせるため、一般的にVRゴーグルやヘッドセットと合わせて視聴されることがほとんどです。
例えば、医療トレーニングや建築のシミュレーションなど、リアルな体験が重要視される場面でその性能が活かされています。
360度動画やVR動画はスマホアプリでも視聴できるのか?
360度動画やVR動画は、スマホアプリでも手軽に視聴可能です。
特に360度動画は、スマートフォンと専用アプリさえあれば画面をスワイプしたり、スマホを動かすことで映像内の視点を変えながら楽しめます。
YouTubeやFacebookといった主要な動画プラットフォームでも360度動画が提供されており、専用アプリを使わずに気軽に楽しめるのが魅力です。
またVRゴーグルとスマホを組み合わせることで、より没入感の高い視聴体験が得られます。
一方で、VR動画は専用のVRアプリが必要で、さらに没入感を最大限に楽しむにはVRヘッドセットの使用が推奨されます。
多くのVR動画は、スマホにインストールしたアプリとVRゴーグル(例: Google Cardboard)を組み合わせることで視聴可能です。
またスマホ専用のVRアプリには無料で利用できるものも多く、VR動画の種類や視聴環境に応じて選べるため、初めての方でも手軽にVRの世界を体験できます。
このように、スマホアプリを活用すれば、360度動画やVR動画の視聴環境が整えやすく、場所を問わず楽しむことが可能です。
特に360度動画はデバイスに依存しないため、広い層に受け入れられ、ビジネスシーンや観光、教育の場面でも活用されています。
360度動画の作り方
360度動画の制作には、通常の動画とは異なる専用機材や編集工程が必要です。
ここでは、360度動画を制作するための基本的なステップを紹介します。
- 専用のカメラと編集ソフトを用意する
- 動画の企画を行う
- 360度動画を撮影する
- 360度動画を編集する
- メタデータを付与してアップロードする
それぞれのステップについて具体的に解説します。
専用のカメラと編集ソフトを用意する
360度動画を制作するには、まず専用のカメラと編集ソフトを用意する必要があります。
360度カメラは、前後左右全方向を一度に撮影できる特殊なレンズを持っており、一般的に複数のレンズが一体化しています。
例えば、GoPro MAXやInsta360シリーズといったカメラが人気で、コンパクトで持ち運びが簡単なものから、プロフェッショナル向けの高性能モデルまで幅広く揃っています。
また撮影後には専用の編集ソフトが必要です。
Adobe Premiere ProやFinal Cut Proのような一般的な編集ソフトでも編集は可能ですが、360度映像特有の処理ができるプラグインや専用機能が備わったものが便利です。
Insta360 StudioやGoProの専用アプリなど、カメラメーカーが提供する無料の編集ソフトもありますので、まずはこれらのソフトで基本的な編集方法を学ぶと良いでしょう。
動画の企画を行う
360度動画の制作では、通常の映像以上に綿密な企画が重要です。
360度動画は視聴者が映像内で自由に視点を移動できるため、どの方向を見ても飽きのこない内容を意識して企画を立てる必要があります。
視聴者がどの場面でも魅力を感じられるように、シーンの配置や動きのタイミングなどを考慮しましょう。
例えば、観光地を紹介する360度動画であれば、視聴者が自分で場所を探索する感覚を得られるように、全方位にポイントを配置する工夫が効果的です。
また動画の目的や視聴ターゲットに合わせてストーリーラインを組むことも大切です。
視聴者の体験を最大限に引き出すために、シナリオや演出の計画を丁寧に進めていきましょう。
360度動画を撮影する
企画が固まったら、いよいよ360度カメラを使って動画の撮影を行います。
撮影時にはカメラの位置や角度、照明の配置などに特に注意が必要です。
360度カメラは周囲すべてを撮影するため、通常のカメラのようにカメラの外にスタッフや機材を配置することが難しいからです。
カメラをできるだけ視聴者が気にならない位置に設置し、視聴体験が途切れないように工夫しましょう。
また360度動画ではカメラの位置が視聴者の視点になるため、高さやアングルが映像の臨場感に大きく影響します。
例えば、視聴者が歩いている感覚を出す場合は、カメラを目線の高さに設定すると自然な映像に仕上がるでしょう。
さらに、動きのあるシーンでは手ブレ防止機能が搭載されているカメラを使うと、スムーズな映像を確保できます。
360度動画を編集する
撮影が完了したら、次は編集作業です。
360度動画の編集では視聴者がどの方向を見ても自然な映像が流れるように工夫する必要があります。
最初に、カメラの各レンズが撮影した映像を専用ソフトでスティッチングし、一つの映像に結合。
この手順により、全方向をカバーした360度映像が完成します。
その後、必要に応じてテロップや音声の追加、色調補正などを行います。
特にテロップの配置には注意が必要で、視聴者がどの方向から見ても違和感なく情報を把握できるよう工夫しましょう。
また視聴者に見てほしいポイントを引きつけるために、ナビゲーションガイドや注目エフェクトを活用すると効果的です。
編集ソフトの機能を活用し、視聴体験を意識した丁寧な編集を行いましょう。
メタデータを付与してアップロードする
編集が完了したら、動画にメタデータを付与して視聴プラットフォームにアップロードします。
メタデータは、動画が360度映像として認識されるために必要な情報です。
メタデータが付与されていない場合、通常の動画として扱われてしまうため、視聴者が360度視点を楽しめません。
YouTubeなどのプラットフォームでは、メタデータの付与が自動で行われることもありますが、必要に応じて手動で設定できるツールを利用すると確実です。
アップロードする際には、タイトルや説明文にも注意を払い、視聴者が動画の内容や楽しみ方を理解しやすくする工夫が大切です。
またサムネイルを工夫して360度動画の特性が一目で伝わるようにすると、より多くの視聴者に訴求できます。
最後に公開設定を確認し、ターゲットに合わせた共有方法で360度動画を公開しましょう。
360度動画の活用事例
360度動画の主な活用事例として、以下を紹介します。
- オープンハウス・モデルルームのバーチャルツアー
- 工場見学
- バーチャル展示会
- 観光・旅行体験
- 社内研修
それぞれの活用事例について具体的に見ていきましょう。
オープンハウス・モデルルームのバーチャルツアー
360度動画を活用したオープンハウスやモデルルームのバーチャルツアーは、不動産業界にとって大きなメリットをもたらしています。
物件を遠方からでも手軽に見学できるため、遠方に住む人や忙しい人でも、実際に足を運ばずに詳細な確認が可能です。
YouTubeの360度動画の例では、カメラが部屋の中心に設置され、視聴者はスマホやPCの画面を通じて自由に視点を動かし、部屋全体を隅々まで見渡せます。
視聴者は空間の広さやレイアウトをリアルに感じられるため、現地見学とほぼ同等の体験が可能です。
さらに、バーチャルツアーは物件ごとの特徴を詳細に説明できる点も強みです。
例えば、キッチンの設備や収納スペースの紹介など、特に強調したいポイントをピンポイントで解説することができ、物件の魅力をより効果的に伝えられます。
こうした360度動画によるバーチャルツアーは、顧客にとって利便性が高く、物件選びの効率を大幅に向上させる方法として注目されています。
工場見学
360度動画を利用した工場見学は、製造プロセスの透明性を高め、消費者や顧客の信頼を向上させる方法として多くの企業に採用されています。
牛乳石鹸のバーチャル工場見学では、工場での石鹸作りの様子を360度視点で楽しむことができます。
動画の途中には石鹸作りに関するクイズなどもあり、動画を見ながら、石鹸作りに関して学ぶこともできる内容になっています。
このような360度動画による工場見学は、物理的に工場に行くのが難しい人や時間のない人にとって貴重な体験を提供します。
また従来の映像よりも広い視点で工場内を確認できるため、企業の姿勢や製品の信頼性を高める効果もあります。
品質の安全性や衛生管理を強調することで、消費者に安心感を持ってもらいやすい点もメリットです。
バーチャル展示会
バーチャル展示会における360度動画の活用は、物理的な会場に集まることが難しい状況下で、遠隔地からも最新技術や製品を体験できる利便性が評価されています。
360度動画を使ったバーチャル展示会では、視聴者が自由にブース内を閲覧することができます。
360度動画によるバーチャル展示会は、企業のプロモーション効果を高め、出展者と参加者の距離を縮める新しいマーケティングツールとして注目されています。
観光・旅行体験
360度動画は、観光や旅行の分野でも非常に有効なツールです。
遠隔地にある観光地や名所を仮想的に訪れ、現地の雰囲気や景観をリアルに楽しめます。
視聴者が自由に視点を移動してその場にいるような感覚を味わえるため、目的地の情報を詳細に把握することができます。
また360度動画を利用すると、現地のアクティビティや文化体験をバーチャル上で体験できるため、旅行先の選定やプランニングがしやすくなります。
特に海外旅行が難しい時期でも360度動画を通じてバーチャル旅行が楽しめるため、観光業界にとっても新しいプロモーション手法としての効果が期待されています。
社内研修
社内研修での360度動画の活用は、従業員が現場をリアルに体験できる環境を提供し、研修の質を高めることが可能です。
オフィス見学や製造工程の解説など、通常は現場でしか学べない知識や作業手順を、360度動画を通じて視覚的に理解できます。
空間全体を把握できるため、従業員は実際の業務に即した学習が可能となり、理解度の向上が期待できます。
360度動画を用いた研修は、現場に行かずとも現場の情報を詳細に把握でき、緊急時対応や安全管理のトレーニングにも応用可能です。
従業員が360度動画で現場の状況や動作を詳細に学べるため、テキストや画像だけの研修に比べて、実践的なスキルの習得がスムーズに進みます。
360度動画を社内研修に活用することで、社員教育の効率化と質の向上が期待できます。
360度動画・VR動画の特徴を理解して効果的に利用しよう
360度動画とVR動画は似た特徴を持つ映像技術ではあるものの、視聴体験や視聴方法には違いがあります。
360度動画とVR動画それぞれの特徴を理解した上で、効果的に動画を活用することが重要です。
今後360度動画やVR動画の活用をご検討されている場合には、本記事の内容を参考にしていただければ幸いです。
また弊社ではCMレベルの高品質動画を業界相場の1/3以下の価格で制作する動画制作サービスを提供しています。
ご興味がありましたら、こちらもあわせてご覧ください。
360度動画に関するよくあるご質問
ここでは、360度動画に関するよくあるご質問に回答します。
360度動画とは何ですか?
360度動画とは、視聴者が映像の中であたかもその場にいるかのように周囲を見回せる動画形式のことです。
詳しくは「360度動画とは?」をご覧ください。
360度動画とVR動画の違いは何ですか?
360度動画とVR動画は視点の変更方法や、ヘッドセットの役割・必要性などが異なります。
詳しくは「360度動画とVR動画の違い」をご覧ください。
360度動画やVR動画はスマホアプリでも視聴できますか?
360度動画やVR動画は、スマホアプリでも手軽に視聴できます。
詳しくは「360度動画やVR動画はスマホアプリでも視聴できるのか?」をご覧ください。
360度動画の作り方について教えてください。
360度動画は以下の手順で制作します。
- 専用のカメラと編集ソフトを用意する
- 動画の企画を行う
- 360度動画を撮影する
- 360度動画を編集する
- メタデータを付与してアップロードする
詳しくは「360度動画の作り方」をご覧ください。
360度動画にはどのような活用事例がありますか?
360度動画には、主に以下の活用事例があります。
- オープンハウス・モデルルームのバーチャルツアー
- 工場見学
- バーチャル展示会
- 観光・旅行体験
- 社内研修
詳しくは「360度動画の活用事例」をご覧ください。