「YouTubeチャンネルのコンセプトを決めたい。でも、何をどこまで決めればコンセプトと言えるのか分からない」
コンセプトの重要性が語られる機会は多い一方で、具体的に何を、どんな順番で決めればいいのかまで示されることはあまりありません。
そこでこの記事では、YouTubeチャンネルのコンセプトの作り方を、7つのステップに分けて解説します。
上から順に進めていけば、自社のYouTubeチャンネルコンセプトを作るために必要なことが一通り分かる構成になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
コンセプトとは、誰に・何を・どのように届けるかの方針のこと
YouTubeチャンネルのコンセプトとは、「誰に、何を、どのように届けるチャンネルなのか」という方針のことで、チャンネルの方向性の核となる考え方です。
かっこいいキャッチコピーを作ることが目的ではなく、ジャンル選びや企画づくりなど、YouTubeチャンネルに関わるすべての判断を方向づけることが役割です。
そのため、コンセプトが固まっていると、企画会議で「この企画はやる、この企画はやらない」を判断する共通のものさしとしても使えます。
弊社がYouTube支援の現場でよく見るのは、この方向性の核がないことに悩んでいるケースです。
たとえば、「毎回ゼロから企画を考えている」「最初の数本でネタが尽きた」「出す動画の方向性がバラバラになってきた」という状況はコンセプトがないことから起こります。
逆にコンセプトが固まっていれば、コンセプトに基づいて企画の採否を決められるため、運用速度は早くなり、方向性もぶれづらくなります。
ジャンル・テーマ・企画との違い
コンセプトと混同されやすい言葉に、ジャンル・テーマ・企画があります。
それぞれの関係を整理すると以下のようになります。
| 用語 | 指すもの | 例 |
| ジャンル | YouTubeチャンネルが属する領域。 | ビジネス系、住宅系、美容系など。 |
| テーマ | YouTubeチャンネルで扱う話題の範囲。 | 中小企業の資金繰り、注文住宅の間取りなど。 |
| 企画 | 1本の動画の切り口。 | 「銀行融資の面談で聞かれる質問」など。 |
| コンセプト | 誰に・何を・どのように届けるかの方針。ジャンル選び、テーマ選び、企画づくりのすべてを方向づける核。 | 「融資に悩む中小企業の社長に、元銀行員が審査の裏側を見せる」など。 |
ジャンルからテーマ、企画へと下りるほど、中身は具体的になっていきます。
一方でコンセプトは、この3つと並列ではなく、3つすべての選択を方向づける上位の方針です。
そのため、同じテーマを扱っていても、コンセプトが違えば採用される企画はまったく別のものになります。
YouTubeチャンネルのコンセプトの作り方7ステップ
ここからは、YouTubeチャンネルのコンセプトの作り方を7ステップで解説していきます。
- ステップ1:目的を決める
- ステップ2:視聴者を理解する
- ステップ3:競合チャンネルのコンセプトを分析する
- ステップ4:自社の強みを言語化する
- ステップ5:立ち位置を決める
- ステップ6:見せ方を決める
- ステップ7:コンセプトを言語化してまとめる
それでは、ステップ1から順に見ていきましょう。
ステップ1:目的を決める
最初に考えるのは、YouTubeというチャンネルを持つ目的です。
ここが曖昧なまま進むと、後のすべての判断がぶれてしまいます。
この項目で考えるのは、以下の3つです。
- このチャンネルで実現したいことを1つに決める
- その目的をYouTubeで果たせるかを確認する
- 数年後に成立していてほしい状態を描く
このチャンネルで実現したいことを1つに決める
コンセプトを考える前に、まず主となる目的を1つに定めましょう。
例えば、問い合わせや購入(BtoBなら商談)の獲得、採用応募の増加などが挙げられます。
複数の目的を同時に果たそうとすると、動画1本ごとに狙いが変わり、YouTubeチャンネル全体として何を伝えたいのかが定まらなくなってしまうため注意が必要です。
目的が1つに定まっていれば、そこから逆算する形で、YouTubeチャンネルの方向性も自然と決まっていきます。
その目的をYouTubeで果たせるかを確認する
次に、その目的がYouTubeという媒体の性質と合っているかを確認します。
YouTubeには、投稿した動画が半永久的に残り続ける資産性があり、「レコメンドによって自社をまだ知らない層にも届く」という、他の施策にはない強みがあります。
そのため、「まだ自社を知らない人との接点を作りたい」「長期的に積み上がる資産を持ちたい」という目的とは相性が良い媒体です。
逆に、短期間で成果を出したい場合には向きません。
YouTube上で動画が見つかるまでに時間がかかりますし、立ち上げ初期の段階で狙ってレコメンドに載せるのは難しいです。
ここで目的と媒体が噛み合わないなら、そのままコンセプトを決めても機能しません。
目的そのものを考え直すか、別の施策を選ぶのが現実的です。
目的を変える場合には、届けたい相手も伝えるべき内容も変わるので、コンセプトも考えなおさなくてはいけません。
数年後に成立していてほしい状態を描く
目的が定まったら、そのYouTubeチャンネルが数年後にどうなっていてほしいかを言葉にしておきましょう。
YouTubeは、公開した動画が積み上がるほど効果を発揮する長期戦を前提とした媒体です。
だからこそ、「登録者が何人」という数字だけでなく、「採用面接に来る人の3分の1がYouTubeチャンネルを見たことがある状態」のように、チャンネルが自社にもたらす変化まで描いておくことが大切です。
長く続くプロジェクトでは、当初の目的が関係者の頭から抜けたり、進めるうちに方向が逸れていくこともあります。
そうしたときに軌道修正できるよう、目指す状態を全員で共有しておくことが大事です。
ステップ2:視聴者を理解する
目的の次は、その動画を誰に届けるのかを決めていきます。
視聴者をどこまで具体的に理解できているかは、コンセプトの精度を大きく左右します。
この項目で考えるのは、以下の5つです。
- 誰に向けるかを1人に絞る
- ターゲットが抱えている悩みを掘り下げる
- その人がどんな場面で動画を探すのかを把握する
- 視聴者をどう変えたいかを決める
- 見た人に次に何をしてほしいかを決める
誰に向けるかを1人に絞る
ターゲットは「20〜30代のビジネスパーソン」のような括りではなく、具体的な1人の人物まで絞り込みましょう。
ターゲットを広く設定するほど、誰にでも当てはまるが誰の心にも刺さらない、当たり障りのない動画に近づいていきます。
20代と30代、男性と女性では見たいものが違う以上、全員に受けようとする設計は成立しません。
実在する顧客をモデルに、年齢・仕事・生活まで思い浮かぶ1人を置くことがおすすめです。
年齢や仕事内容だけでなく、次の3点まで書き出しておきましょう。
- 普段どのメディアを見ているか(YouTube、X、業界ニュースサイトなど)
- それを何の目的で見ているか(息抜きなのか、仕事の情報収集なのか、比較検討中なのか)
- 見たあとに何を感じ、どう動くか(保存する、同僚に共有する、社名で検索する、何もしない)
ターゲットが抱えている悩みを掘り下げる
ターゲットを1人に絞ったら、その人が抱えている悩みや葛藤を掘り下げます。
このとき、表面的な悩みで止めないことがポイントです。
たとえば「応募が来ない」と悩む採用担当者の奥には、「そもそも求職者に会社を知られていない」「知られても他社との違いを説明できない」といった、より根の深い悩みがあります。
営業やカスタマーサポートが日々受けている質問や相談には、こうしたターゲットになり得る人物の本音が隠れています。
その人がどんな場面で動画を探すのかを把握する
同じ人でも、暇つぶしでYouTubeを開いている場面と、調べものをしている場面では、見たい動画がまったく違います。
このとき参考になるのが、視聴者が動画にたどり着く経路です。
弊社セミナーで紹介している実測データでは、検索からの流入は全体の6.9%にとどまり、ブラウジング機能(ホーム画面のおすすめ)からが67.6%、関連動画からが20.3%を占めていました。

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つまり、視聴者の大半は調べものの最中ではなく、暇な時間にホーム画面を眺めている状態で動画に出会っています。
コンセプトを考える際も、こうした前提を認識しておく必要があります。
検索で見つけてもらうことを前提にすると、届く範囲が極端に限定されてしまう可能性があります。
視聴者をどう変えたいかを決める
次に、動画を見終わった視聴者がどう変わっていてほしいかを決めます。
「見る前は自社に合う勤怠管理システムがわからなかったが、見た後は自社の規模なら何を基準に選べばいいかがわかっている」のように、見る前と見た後の変化を言葉にしておきましょう。
どのような変化を起こしたいのかが決まっていないと、動画は情報を並べただけのものになり、ただ消費されて終わります。
そして、この「どう変えたいか」が明確になるほど、YouTubeチャンネルのコンセプトも輪郭がはっきりしていきます。
見た人に次に何をしてほしいかを決める
最後に、動画を見た人に取ってほしい行動を決めます。
チャンネル登録なのか、資料請求なのか、採用ページの閲覧なのかによって、動画の作りも導線も変わるからです。
弊社が支援の現場でよく見る失敗の1つが、見られる動画は作れているのに、行動を促す動画や導線がYouTubeチャンネル内にまったくないケースです。
この状態では、再生数が伸びても事業の成果にはつながりません。
「誰に何を届けるか」だけでなく、その先に「どう行動してもらうか」まで含めてコンセプトを設計しましょう。
ステップ3:競合チャンネルのコンセプトを分析する
ここでは、競合のYouTubeチャンネルがどんなコンセプトで発信しているかを分析します。
個々の動画の企画を真似るためではなく、コンセプトの重なりを避けて差別化するための分析です。
この項目で考えるのは、以下の4つです。
- 同じ視聴者を取り合う相手を把握する
- 競合チャンネルのコンセプトを書き出す
- 自社が入り込める余地を探す
- その切り口に視聴者がいるかを確認する
同じ視聴者を取り合う相手を把握する
YouTubeにおける競合は、同業他社のチャンネルだけではありません。
視聴者のYouTubeのホーム画面には、スポーツのハイライトや人気タレントの動画といった、あらゆるジャンルの魅力的なサムネイルが並んでいます。
企業のYouTubeチャンネルはこうした動画と同じ画面で視聴者の時間を取り合っています。
そのため、リサーチの対象は同業他社に加えて、ターゲットが実際にホーム画面で目にしているであろう動画まで広げることが大切です。
ホーム画面に何が並んでいるかは、たとえば次のような方法で確かめられます。
1. ターゲットに近い人に見せてもらう
- ペルソナに近い社員や既存顧客に、YouTubeアプリのホーム画面と登録チャンネルの一覧を見せてもらいます。
→10分ほどのヒアリングでも、想像とのずれが具体的に分かります。
2. まっさらな環境で再現する
- ブラウザのシークレットウィンドウでYouTubeを開き、ターゲットが見そうな動画を数本視聴します。
→その後にホーム画面と関連動画がどう変わるかを見ると、レコメンドの傾向を疑似的に確認できます。
3. 検索結果の並びから拾う
- ターゲットの悩みの言葉でYouTube内を検索し、上位に並ぶ動画のジャンルの幅を確認します。
→同業他社以外にどんな発信者が出てくるかが、時間を取り合う相手の候補になります。
競合チャンネルのコンセプトを書き出す
ターゲットが見ていそうなYouTubeチャンネルを10個ほど選び、それぞれのコンセプトを1行で書き出します。
ここでの競合は、同業他社だけではなく、その人が普段見ているであろうチャンネル全般です。
スポーツの試合動画やタレントの動画、業界外のビジネス系チャンネルなども含めて選びます。
選び方は、ターゲットに近い人のYouTubeアプリで登録チャンネルを見せてもらうか、ターゲットが検索しそうな言葉でYouTubeを検索して、上位に出てくるチャンネルを拾います。
コンセプトは、チャンネルの概要欄と再生数上位の動画から読み取ります。
「誰に・何を・どんな立場で」の3点が分かれば十分です。
書き方は「若手の営業担当者に、商談の進め方を、トップ営業の立場で見せる」のような形で、1チャンネル1行にそろえます。
自社が入り込める余地を探す
競合のコンセプトを洗い出したら、自社のチャンネルがまだ入り込める余地がどこにあるかを探します。
競合と異なる切り口を探す方法としては、以下のようなものが挙げられます。
1. 定番の質問から探す
- 業界キーワードに「価格」「デメリット」「他社比較」「評判」「選び方」を掛け合わせてYouTubeで検索する
→企業や専門家が正面から答えている動画がなければ、その質問が候補になる
2. 質問が集まる場所から探す
- 営業やカスタマーサポートが繰り返し受けている質問
- 競合チャンネルのコメント欄にある質問のうち、コメント返しや動画で答えが提示されていないもの
- 検索されている関連語や質問を一括で調べられるキーワード調査ツール「ラッコキーワード」の、「よくある質問検索」で繰り返し出る質問
→繰り返し聞かれているのに、動画としてまとまった答えがない質問が候補になる
3. 答えがあっても古い・浅いものを探す
- 候補の質問文をYouTubeで検索し、「今年」の期間フィルターをかけて上位を確認する
→答えた動画が1年以上前のものしかない、または質問の一部にしか触れていなければ、まだ余地があるとみなせる
4. 業界の中では当たり前すぎて語られていないことを探す
- 初めての顧客に毎回説明していること
- 業界の慣習や立場上の理由で、同業がどこも表に出していないこと
- 現場にいる人しか知らない裏側や判断の基準
→自社では当たり前でも、競合が動画にしていなければ候補になる
その切り口に視聴者がいるかを確認する
候補となる切り口が見つかったら、そこに視聴者がいるかも確認しておきましょう。
ただし、競合がまったくいない場所を狙うことはおすすめできません。
関連する動画が存在しないジャンルでは、YouTubeのレコメンドがうまく機能しないためです。
ホーム画面や関連動画に表示されにくくなり、戦える場所は流入全体の1割弱しかない検索結果だけに絞られてしまいます。

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狙い目は、すでに再生されている大きなテーマの中にある、まだ動画になっていない細かい切り口です。
視聴者がいるかどうかは、候補の切り口に近いキーワードでYouTube内を検索して確かめます。
見るのは次の2点です。
- 近い話題の動画が、直近1年以内にも投稿され続けているか
- 登録者数が多くないチャンネルの動画でも、再生数が伸びているものがあるか
両方に当てはまれば、テーマ自体に視聴者がいて、後発でも見てもらえる余地があると判断できます。
ステップ4:自社の強みを言語化する
市場の様子が見えたら、次は自社の強みを言語化します。
ここで書き出す自社ならではの材料が、コンセプトの独自性を支えます。
この項目で考えるのは、以下の3つです。
- 自社だから語れることを棚卸しする
- 失敗や弱みも資産として扱う
- 言えることと言えないことの線を引く
自社だから語れることを棚卸しする
リサーチで見つけた「自社が入り込める余地」に対して、YouTubeで自社は何を語れるのか。
それを確かめるために、社内にある「語れること」を書き出します。
切り口の例は次のとおりです。
- 営業やカスタマーサポートが日々受けている質問と回答
- 現場で起きた失敗と、そこから得た対処法
- 業務の中で蓄積されてきた実例やデータ
- 特定の領域を深く語れる社員
この段階は質より量です。
複数の部署に声をかけて集めましょう。
書き出したら、一般論として説明できてしまう項目を外します。
残った項目の中から、「ターゲットの悩み」と「自社だからこそ解決できること」が重なる領域を探します。
それが動画で語るべき強みです。
失敗や弱みも資産として扱う
棚卸しの際、成功事例や実績ばかりを探してしまいがちですが、失敗や弱みも立派な資産です。
YouTubeで求められているのは「正しさ」よりも「ここでしか見られないもの」です。
きれいにまとまった成功の話は他社にもありますが、自社の失敗談やその渦中の判断は、他社には絶対に真似できない一次情報といえます。
取り繕わない等身大の発信があると、視聴者からの信頼も得やすくなります。
言えることと言えないことの線を引く
強みの候補が残ったら、公開の場で言えることと言えないことの線を引きます。
守秘義務に触れる事例や、社外に出せない数字を語れる前提でコンセプトを組むと、後で必ず行き詰まります。
線引きを曖昧にしたまま進むと、いざ企画になってから「やっぱりこの話は出せない」が繰り返され、YouTubeチャンネルの更新自体が止まってしまいます。
法務や経営層を交えて、公開できる範囲について先に合意を得ておきましょう。
ステップ5:立ち位置を決める
ここからは、リサーチで見つけた市場の空きと自社の強みを重ね、YouTube上でどこに立ち位置をとるか決めていきます。
この項目で考えるのは、以下の4つです。
- どの問いに、どんな立場で答えるかを決める
- 独自性の出し方を考える
- 競合と並んだときに選ばれる理由を確認する
- その立ち位置を数年単位で続けられるかを確認する
どの問いに、どんな立場で答えるかを決める
最初に決めるのは、リサーチで見つけた「自社が入り込める余地」のうち、どの問いに答えるYouTubeチャンネルにするかです。
強みの棚卸しで残した候補と突き合わせ、自社が最も厚く語れる問いを1つ選びましょう。
あわせて、YouTubeで「どんな立場で答えるのか」も言葉にします。
「現場で施工してきた人間として」「元銀行員として」「数百社の労務現場を見てきた立場として」のように語る立場が決まると、同じ問いを扱う他のチャンネルとの違いがはっきりします。
独自性の出し方を考える
次に、YouTube上でどうやって独自性を出していくかを考えます。
弊社では、独自性を出すアプローチを大きく2つに分けて考えています。
| アプローチ | 中身 | 注意点 |
| 領域を絞って尖らせる | 「マネジメント」を「営業チームのマネジメント」に絞るなど、扱う範囲を限定して専門性を際立たせる。 | 簡単に実行できる一方で、狙える市場そのものが狭くなる。 |
| 見せ方で差別化する | 扱う土俵は同じでも、演出やキャラクターの掛け合いなど、動画としての魅力で差をつける。 | 市場の広さを保てるが、企画・制作の工夫が求められる。 |
どちらか一方を選ぶというより、取り組む順番が重要です。
おすすめは、まず見せ方で独自性を追求し、それでも弱い場合に領域を絞る、という順番です。
先に領域を絞りすぎると、視聴者の総数が大幅に減ってしまうので注意が必要です。

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競合と並んだときに選ばれる理由を確認する
ここまで「答える問い・語る立場・独自性の出し方」を整理してきました。
ここでは、競合のYouTubeチャンネルと並べて、自社が選ばれる理由を説明できるか確認します。
「同じ問いを扱うチャンネルはあるが、この立場で語っているのはうちだけ」という状態になっていれば問題ありません。
なお、こうして立ち位置を絞り込むということは、「それ以外の視聴者には選ばれなくてもよい」と割り切ることでもあります。
社内から「もっと幅広い人に受ける内容にしてはどうか」という声が出たときも、この基準に立ち返って判断しましょう。
その立ち位置を数年単位で続けられるかを確認する
最後に、ここまで絞り込んできた立ち位置を数年単位で続けられるかを確認します。
前提として、YouTubeは動画単体ではなくチャンネル全体で評価が判断されている可能性が高く、チャンネルテーマには一貫性と独自性が必要だと弊社では捉えています。
方向性の違う動画が混ざったり、立ち位置の変更を繰り返したりすると、せっかく積み上げた評価が下がってしまいます。
数本の反応を見て変えたくならないか、数年同じ立場で語り続けられるか、という目線で確かめておきましょう。

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ステップ6:見せ方を決める
立ち位置が決まったら、それを視聴者にどんな形で届けるかを設計します。
同じ中身でも、見せ方によって伝わり方は大きく変わります。
この項目で考えるのは、以下の3つです。
- 毎回視聴者が何を得られるかを決める
- 演者を決める
- 世界観を決める
毎回視聴者が何を得られるかを決める
視聴者が毎回のYouTube動画で必ず得られるものを決めます。
「毎回1つ、業界の誤解が解ける」「毎回1社分の現場の裏側が見られる」のように、このチャンネルは何を届けるのかを一言で説明できる状態にしておきましょう。
視聴者に繰り返し見に来てもらう鍵は、チャンネルが視聴者のルーティンに入り込めているかどうかだと、弊社は考えています。
「通勤中に、業界のニュースをこのチャンネルで確認する」というところまでいけば、視聴者は新しい動画が出るたびに、こちらから働きかけなくても見に来てくれます。
ルーティンに入り込むうえで欠かせないのが、毎回届けるものを一貫させることです。
「このチャンネルを見れば◯◯が分かる」と視聴者に認識してもらえれば、次の動画も開いてもらいやすくなります。
演者を決める
次に、誰が画面に出るかを決めます。
YouTubeの動画に出る人は、そのまま会社のイメージになります。
だからこそ演者選びは、会社の見え方を決める重要な判断です。
肩書きや役職よりも、そのテーマを自分の言葉で語れること、そして数年単位で出演し続けられることを優先しましょう。
社内に適任がいない場合は、外部の演者を起用する方法もありますが、自社らしさをどこで担保するかをあわせて考える必要があります。
世界観を決める
最後に、YouTubeチャンネル全体の世界観を決めます。
世界観は、このYouTubeチャンネルがどういう場所なのかという設定です。
専門家がじっくり教えてくれる場なのか、現場の人が本音で話す場なのか。
ただし、「専門家が教える場」と一言で決めただけでは、企画や編集の場面で使えません。
その場でどう振る舞うかまで、言葉にしておく必要があります。
たとえば「専門家が教える場」であれば、「ホワイトボードの前に立ち、授業の形で進める」「聞き役と専門家の2人で進め、聞き役はあえて素人の立場から聞きづらいことも遠慮なく聞く」のように、動画ごとの企画や編集で迷ったときに立ち返れる粒度まで下ろします。
ここまで言語化しておくと、制作に関わるメンバーが変わっても判断がぶれません。
ステップ7:コンセプトを言語化してまとめる
ここまでの検討結果を、最後に1つの文章へまとめます。
言語化して初めて、YouTubeチャンネルのコンセプトは社内で共有できる判断基準になります。
この項目でやることは、以下の5つです。
- 4つの要素で書く(記入例つき)
- 伝えたいことが顧客目線になっているかを確認する
- 一言で言い切れるまで削る
- シリーズ企画に展開できるかを確かめる
- 社内に共有し、企画判断のルールにする
4つの要素で書く
コンセプトの文章は、以下の4つの要素で構成することがおすすめです。
| 要素 | 中身 | 対応する工程 |
| 誰に | 絞り込んだ1人のターゲット。 | 視聴者の理解 |
| 何を | 視聴者が毎回得られる価値。 | 視聴者の理解・見せ方の設計 |
| なぜ自社が | その内容を自社が語れる根拠。 | 自社の強みの言語化・立ち位置 |
| どのように | 演者や世界観といった見せ方。 | 見せ方の設計 |
どれか1つでも曖昧なままだと、企画を出すたびに判断が人によって変わってしまいます。
記入例
たとえば、労務管理システムを提供する会社が自社のYouTubeチャンネルのコンセプトを考える場合、4つの要素を埋めていくと次のような形になります。
| 要素 | 記入例 |
| 誰に | 従業員100名前後の会社で、労務を一人で担当している人。 |
| 何を | 他社の労務担当者が、同じ悩みをどう乗り切ったかが分かる。 |
| なぜ自社が | 数百社の労務現場を見てきた知見があるから。 |
| どのように | 他社の労務担当者へのインタビュー形式で、1本10分。 |
重要なのは、動画を届ける相手が自社の見込み顧客になっているかという点です。
同じ立場の担当者が継続的に見てくれるようになれば、「システムの導入を検討する段階で相談先として思い出してもらえる」という導線まで描けます。
このように、4要素の整合性が取れていれば、事業につながるコンセプトとして成立します。
伝えたいことが顧客目線になっているかを確認する
コンセプトの主語が視聴者に変えても意味が通るか確認してみましょう。
「自社システムの使いやすさを伝える」のように自社を主語にしたままだと、自社の言いたいことが中心の動画になり、視聴者にとっては自分に関係のない話に見えてしまいます。
「入退社の手続きに毎回追われている労務担当者が、抜け漏れなく進めるための手順が分かる」と視聴者を主語にして意味が通れば、動画の内容も視聴者が知りたいことから考えられるようになります。
一言で言い切れるまで削る
長すぎるコンセプトはそもそも覚えることが困難です。
記憶に残っていなければ、企画を考える際もコンセプトの解像度は下がります。
その曖昧さは、そのまま動画の内容にも表れます。
「◯◯な人に、◯◯を、◯◯で見せる」と一言で言える状態まで削ると、企画を考えるときも撮影の現場でも、全員が同じ前提で動けるようになります。
削る過程で、どうしても残したい要素が複数ぶつかることがあります。
その場合は、最初に決めたYouTubeチャンネルの目的に照らして、どちらがチャンネルの本筋かを判断しましょう。
シリーズ企画に展開できるかを確かめる
言語化できたら、そのコンセプトから企画が続けて生み出せるかを試します。
実際に企画案を10本、20本と書き出してみて、無理なく出てくるなら現実的な方向性です。
数本で苦しくなる場合は、切り口が狭すぎるか、自社の強みと噛み合っていない可能性があります。
弊社でも、最初の数本の勢いだけで見切り発車せず、始める前にシリーズ全体を設計しておくことを大切にしています。
社内に共有し、企画判断のルールにする
最後に、完成したYouTubeチャンネルのコンセプトを文書として社内に共有し、企画判断の基準として運用します。
企画会議では、出てきたYouTube企画の案を「コンセプトに合っているか」で確認します。
合っていない案は、面白さだけで通してしまわず、なぜコンセプトから外れたのかを一度考えてみましょう。
話し合った結果、コンセプトを修正することもあります。
避けたいのは、気づかないうちにずれていくことです。
前述のとおり、長く続けるうちに当初の目的は関係者の頭から抜けていきがちです。
そうならないよう、弊社が支援する際には、判断に迷ったときにコンセプトへ立ち返る役割を先に決めるようにしています。
あわせて経営層の合意も取っておくと、後から方針がひっくり返される事態を防げます。
公開後にコンセプトが正しかったかを確かめる方法
YouTubeに動画を公開した後に、コンセプトが正しかったかを確かめる方法をあらかじめ決めておきましょう。
確かめる観点は以下の5つです。
- 何本出した時点で判断するかを決めておく
- 狙った視聴者に届いているかを確かめる
- 見た人が期待どおり反応したかを確かめる
- 動画の問題かコンセプトの問題かを切り分ける
- コンセプトを見直すべきかを判断する
何本出した時点で判断するかを決めておく
まず、何本・何ヶ月分の動画を出した時点でコンセプトを評価するかを、公開前に決めておきます。
動画の反応はテーマやタイトル、サムネイルによっても変わるため、最初の数本の数字だけでは、コンセプト自体の良し悪しを見極めにくいものです。
判断のタイミングを先に決めていないと、目先の数字に一喜一憂して、本数が揃う前に方向性を変えてしまいがちです。
まずは決めた本数を公開し、動画ごとの反応や改善点を記録しましょう。
その結果をまとめて振り返ることで、コンセプトを維持するか、見直すかを判断しやすくなります。
狙った視聴者に届いているかを確かめる
まずYouTubeアナリティクスで視聴者層を確認します。
見るのは、視聴者の年齢・性別などの属性、流入経路、そして自分の動画がどんな動画と一緒に視聴されているかです。
コンセプトで狙った1人と近い層に届いていれば、少なくとも「誰に届けるか」の設計は機能しています。
まったく違う層に届いている場合は、中身ではなくサムネイルやタイトルといった入口が、ターゲットとは異なる相手に向けたものになっている可能性があります。
見た人が期待どおり反応したかを確かめる
次に、視聴者が期待どおりの反応をしているか確認します。
YouTubeのおすすめや関連動画への表示は、一般的に6つのエンゲージメント指標で評価されるとされています。

弊社セミナー「【登録者10万人達成】企業YouTubeは「企画」が9割!着実にファンを増やす動画テーマの選び方」資料より抜粋
具体的には、表示からのクリック率、視聴維持率、高評価・低評価、コメント、シェア、視聴後のチャンネル登録の6つです。
なかでもクリック率は「見たいと思えるサムネイルだったか」を、視聴維持率は「期待通り(あるいは期待を超える)コンテンツだったか」を表すため、事業成果につながるコンセプトになっているかを検証する際に役立ちます。
あわせて、コンセプト設計で決めた「見た人にしてほしい行動」が実際に起きているかも、問い合わせ数や登録数で確認しましょう。
動画の問題かコンセプトの問題かを切り分ける
数字が振るわないとき、原因が個々の動画にあるのか、コンセプトにあるのかを切り分けます。
切り分けの目安は以下のとおりです。
| 症状 | 疑うべき場所 |
| 特定の動画だけ数字が悪い | その動画の企画・サムネイル・編集の問題。 |
| どの動画も同じように再生されない | コンセプトの問題。暇な時間に見たくなる要素が足りていない。 |
| 再生はされるが行動につながらない | コンセプトの問題。行動を促す動画や導線が設計から抜けている。 |
1本ごとの数字のばらつきは正常な範囲であり、その都度コンセプトを疑う必要はありません。
一方で、全動画に共通する傾向がある場合は、個々の動画ではなく設計そのものに原因があると考えられます。
コンセプトを見直すべきかを判断する
切り分けの結果、コンセプト側に原因があると見えたら、見直しの判断に進みます。
弊社の支援経験では、サムネイルやタイトルの変更だけでは表面的な改善にとどまり、すぐに頭打ちが来ます。
どの動画も同じように伸びない状態が続くなら、チャンネルテーマやコンセプトといった上流から見直す方が、大きな改善につながります。
ただし、見直しとゼロからの作り直しは別物です。
再生はされているのに成果が出ないなら、行動を促す動画を足すだけで解決することもあるため、工程のどこに原因があるかを特定してから、必要な箇所だけ直しましょう。
YouTubeチャンネルのコンセプトまとめ
本記事では、YouTubeチャンネルのコンセプトの作り方を、7つのステップと公開後の確かめ方に分けて解説しました。
YouTubeチャンネルのコンセプトとは、誰に・何を・どのように届けるかの方針であり、固まっていれば企画の採否を判断する基準としても使えるものです。
まずはステップ1の目的決めから、この記事の順番どおりに自社の答えを書き出してみることがおすすめです。
とはいえ、視聴者の視聴ニーズの掘り下げや競合リサーチは、初めてのチームだけで進めると時間がかかる部分でもあります。
株式会社Lumiiは、累計1,000本以上の動画制作と企業YouTubeチャンネルの運用を支援してきました。
コンセプト設計の壁打ちから企画・制作・分析まで、一貫して伴走します。
自社のコンセプトがこれで良いのか確かめたい方も、これから設計を始める方も、お気軽にお問い合わせください。


