「自社もそろそろYouTubeをやるべきか」と検討しながら、判断基準が持てずに迷っている企業は少なくありません。
本記事では、企業YouTube活用を始めるべきかどうかを、8つの観点・34項目のチェックリストで判断できるようにまとめました。
自社が当てはまるかどうかを上から順に確認していけば、いま始めてよいかどうかと、始める前に何を整えておくべきかが分かります。
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| No. | 観点 | 主な確認内容 |
| 1 | 目的の明確さ | 経営課題とYouTube活用の目的がつながっているか |
| 2 | 他施策との優先順位 | いま企業YouTube活用に着手する根拠があるか |
| 3 | ターゲットとの適合性 | 届けたい相手とYouTubeという媒体が合っているか |
| 4 | コンテンツ供給力 | 発信し続けるネタと出演者を用意できるか |
| 5 | 表現の許容度 | YouTubeで見てもらえる表現を社内が許容できるか |
| 6 | 体制の確保 | 続けられる仕組みと人を確保できるか |
| 7 | 予算と投資回収 | 費用と成果までの期間を投資として説明できるか |
| 8 | リスクへの備え | 起こりうる事態への対応を決められるか |
企業YouTube活用の目的の明確さ
まず確認したいのは、YouTube活用の目的がどれだけ明確になっているかです。
目的が曖昧なまま企業YouTubeを始めると、動画を何本作っても良し悪しを判断できなくなります。
具体的なチェック項目は以下のとおりです。
- 解決したい経営課題を言語化できているか
- 目的の達成度を計測できる環境があるか
- 競合の動き以外に始める理由があるか
解決したい経営課題を言語化できているか
「認知が足りない」「採用の応募が集まらない」など、YouTubeで解決したい経営課題を言葉にできているかを確認します。
課題の解像度はそのまま企画の解像度になるため、ここが曖昧なままだと動画の内容も一貫性を欠いたものになっていきます。
なお、企業YouTubeは営業・採用・広報へ横断的に活用できる媒体なので、課題は複数挙がっても構いません。
判断の目安は、「誰のどんな状態をどのように変えたいか」を言語化できるかです。
たとえば採用なら、「求職者の認識を“名前だけ知っている”から“事業内容まで理解している”へ変える」と言えればクリアです。
目的の達成度を計測できる環境があるか
目的を決めても、達成度を把握できる環境がなければ、続けるかどうかの判断ができません。
再生回数や登録者数はYouTubeアナリティクスで確認できますが、問い合わせや応募への貢献は、フォームの流入元設問や商談・面接でのヒアリングなど、自社側の仕組みが必要です。
ただし、YouTubeの効果は数字に表れるものばかりではありません。
弊社でも、媒体上の数字や問い合わせ数の推移とあわせて、商談や採用の場で「動画を見ました」という声が出てくるかを重視しています。
YouTube経由の問い合わせや応募を区別して数えられる仕組みを1つは用意したうえで、「数字で追える成果」と「数値化できない変化」を両方見る前提を持っておきましょう。
競合の動き以外に始める理由があるか
「競合がやっているから」だけを理由に、YouTube活用を始めようとしていないかも確認しておきたい点です。
競合起点の動機だけだと目的が曖昧なまま運用が続いてしまいます。
結果、テーマ設計に一貫性がなくなり、企画も競合の後追いになりやすくなります。
同じテーマで競合が先に第一想起を取っていると、後から挽回するのは簡単ではありません。
逆に、自社の課題を起点にできていれば、同じ領域を扱う場合でも語る中身が変わり、競合の動きに振り回されることなく運用を続けられます。
企業YouTubeと他施策との優先順位
ここでは、数あるマーケティング施策の中で、いま企業YouTube活用に着手する根拠があるかを確認します。
YouTube自体の良し悪しではなく、自社の施策全体の中での位置づけを見ていきます。
具体的なチェック項目は以下のとおりです。
- 既存施策より優先すべき根拠を説明できるか
- 既存施策との相乗効果が見込めるか
- YouTubeでなければ得られない価値があるか
既存施策より優先すべき根拠を説明できるか
既存施策が順調に伸びているなら、そちらにリソースを割いた方が費用対効果は高くなります。
判断の基準になるのは、既存施策では届かない部分があるかどうかです。
たとえば、記事や広告は一度きりの接点で終わりがちです。
繰り返し見てもらいながら信頼を積み上げたいという課題があるなら、YouTube活用を選ぶ根拠になります。
既存施策との相乗効果が見込めるか
YouTubeは単独でも成立しますが、既存施策と組み合わせられると効果が高まります。
動画は一度作れば、商談前の予習資料として送る、採用サイトに社員インタビューを埋め込む、セミナー集客の告知に使うなど、YouTubeチャンネル以外でも使い回せます。
使い道が増えるほど、YouTube動画1本あたりのコストパフォーマンスは上がっていきます。
いまある施策との組み合わせが2つ以上思い浮かべば、相乗効果は十分に見込めます。
YouTubeでなければ得られない価値があるか
短期の販売促進だけなら広告のほうが速く、テキストで足りる情報提供ならオウンドメディアの活用のほうが低コストです。
一方でYouTube活用には、認知の獲得から継続的な接点づくり、ファン化までを一つのチャネルで担えるという強みがあります。
YouTubeを通して一度接点が持てれば、特定の相手に繰り返しアプローチし、時間をかけて関係を深めていくことができます。
これは他の施策では代替しにくいYouTubeならではの強みです。
目的が「視聴者と時間をかけて関係を深めること」なのか、それとも「短期で成果を出すこと」なのか。
後者なら、広告やオウンドメディアのほうが合理的です。
ターゲットと企業YouTubeの適合性
ここでは「届けたい相手」と「YouTubeという媒体との相性」を見ていきましょう。
企業YouTube活用の成否は、ターゲットの視聴習慣と商材の性質に大きく左右されます。
具体的なチェック項目は以下のとおりです。
- 主要ターゲットを一つに特定できているか
- ターゲットにYouTubeの視聴習慣があるか
- 文章や画像で伝えきれない要素があるか
- 関連キーワードに検索需要があるか
- 視聴後の受け皿を用意できているか
主要ターゲットを一つに特定できているか
動画を最も見てほしい相手を、どこまで具体的に思い描けているかを確認します。
「20〜30代の若手」のような広いくくりでは、20代と30代、男性と女性で見たいものが違うため、誰にも刺さらない当たり障りのない動画になりがちです。
弊社では支援の際、企業の担当者様と「どんなお客さんがいるのか」を話しながら、たった一人の具体的なペルソナ像を一緒に絞り込んでいきます。
既存顧客の中の実在する一人の顔が浮かび、普段見ている番組・チャンネルまで言語化できるようになっていれば理想的です。
ターゲットにYouTubeの視聴習慣があるか
どれだけ動画の質を高めても、ターゲットがYouTubeを開かないのであれば動画は届きません。
既存顧客やターゲットに近い年代・職種の社員に聞く、ターゲットに近い層が見ていそうなチャンネルの登録者数や再生回数を調べる、といった方法で確認できます。
視聴の習慣がなさそうな場合は、他のSNSや媒体を優先する選択肢も含めて検討するのが合理的です。
文章や画像で伝えきれない要素があるか
自社の商材や会社に、文章や画像だけでは伝えきれない要素があるかどうかも、重要な判断材料です。
機械が稼働している様子や施工の工程のような「動き」に加えて、社員の人柄や職場の雰囲気といった空気感、ブランドとして大切にしている世界観も、動画だからこそ伝えられます。
ただし、こうした要素が挙がらなくても動画に向いていないと断定する必要はありません。
認知獲得やファンづくりを目的とした活用であれば十分に成果を狙えます。
関連キーワードに検索需要があるか
検索需要があれば、始めたばかりのチャンネルでも見つけてもらえる入口が増えます。
Ahrefsの「YouTube Keyword Tool」や「kamui tracker」といったツールで、YouTube内の検索回数や関連動画の本数を確認できます。
一方で、弊社が支援しているチャンネルを見ている実感としては、流入の8〜9割はおすすめや関連動画経由で、検索は1割程度にとどまります。

弊社セミナー「広告費ゼロで集客・ファン化を実現!資産として積み上がる企業YouTubeの成長戦略【2026年版】」資料より抜粋
検索需要が高いからといって、チャンネルが自然に伸びていくわけではありません。
とはいえ、需要がなければ見つけてもらう機会そのものが限られてしまいます。
視聴後の受け皿を用意できているか
動画で興味を持った視聴者は、自然と次の行動を考えます。
このとき問い合わせページ・採用ページ・資料請求フォームといった受け皿がなければ、興味は時間とともに冷め、動画の出来がよくても成果には繋がりません。
受け皿の状態は、事業成果を大きく左右します。
YouTubeからLPへの遷移が月1,000人のチャンネルで、着地先だけが違う場合を比べてみます。
| 項目 | 受け皿が不十分 | 受け皿が整っている |
| LPへの遷移 | 月1,000人 | 月1,000人 |
| CVR | 1% | 2% |
| 問い合わせ | 月10件 | 月20件 |
| 年間の問い合わせ | 120件 | 240件 |
同じ動画・同じ再生数でも、受け取れる成果はこれだけ変わります。
動画の内容と地続きの遷移先(採用動画なら採用ページ)を用意し、何を申し込む場所かが一目で分かる作りになっているかを確認しましょう。
企業YouTubeのコンテンツ供給力
ここでは、企業YouTubeの発信を続けるためのネタと人を供給できるかを確認します。
企業YouTube活用は単発の動画制作ではなく、継続的にコンテンツ制作する仕組みが必要です。
具体的なチェック項目は以下のとおりです。
- 継続的に発信できるテーマが社内にあるか
- 自社ならではの知見や実績を材料にできるか
- 顔出しで出演できる社員を確保できるか
- 出演者が本人の意思で引き受けているか
- 社外に出せる情報の範囲が決まっているか
継続的に発信できるテーマが社内にあるか
動画のテーマを出し続けられる源泉が、社内にあるかを確認します。
顧客からよく聞かれる質問、営業のたびに説明していること、現場の作業風景などは、すべて企画の源泉になります。
シリーズとして続けられるテーマの軸を決めて、3ヶ月分(月2本なら6本程度)の企画名を挙げられれば十分です。
運用が始まればコメントや商談から企画は増えていくため、最初から1年分をそろえておく必要はありません。
3ヶ月分がなかなか挙がらない場合は、テーマ設定から見直してみましょう。
自社ならではの知見や実績を材料にできるか
YouTubeには膨大な数の動画が投稿されており、AIでコンテンツを量産できる時代には、どこでも見られる一般論はますます選ばれにくくなっています。
実際、AI検索がYouTube動画をどう引用しているかを調べた調査では、引用されるかどうかは再生回数や登録者数とほとんど相関せず、参照する価値のある内容かどうかが重要だと考えられています。
出典:OtterlyAI「YouTube AI Citation Study 2026」
差別化の材料になるのは、現場で蓄積した判断基準、独自の実績データ、業界の専門家とのつながりといった、自社ならではの資産です。
よくあるテーマしか挙がらない場合も、自社の経験をもとに「なぜそうなるのか」「自社ではどう判断しているか」という解釈を足せれば、独自の切り口として成立します。
顔出しで出演できる社員を確保できるか
撮影や編集は外部に任せられますが、企業の顔として出演する人は社内から出す必要があります。
回によって出演者が変わること自体は問題ありませんが、毎回出てくる中心人物がいるかどうかで、視聴者との関係の築き方が変わります。
同じ人が語り続けることの効果は、心理学の知見でも裏づけられています。
- 単純接触効果:繰り返し接触した対象に、人は好意を持ちやすくなる(参考:日本心理学会「繰り返し接しているうちにどんどん好きになるのはなぜ?」)
顔出しが難しい場合は手元の実演やナレーション中心でも代替できますが、その場合も話し手は固定することを弊社では推奨しています。
出演者が本人の意思で引き受けているか
出演する社員が決まっている場合も、本人が納得して引き受けているかは別問題として確認が必要です。
業務命令で嫌々出演している状態は画面越しに伝わりやすく、継続の途中で断られるリスクも抱えることになります。
弊社の支援経験でも、作り手のチームが楽しんでいるチャンネルほど、視聴者に届くコンテンツを出し続けられています。
まだ確認していない場合は、開始前に本人の気持ちを確かめておきましょう。
社外に出せる情報の範囲が決まっているか
機密や契約の観点から、社外に出せる情報の線引きも事前に必要です。
顧客名・数値実績・製造工程など、動画で扱ってよい範囲が曖昧なままだと、企画のたびに社内確認が発生して制作が止まります。
判断に迷いやすいのは、撮影時に取引先の社名や資料が映り込む映像、契約上の秘密保持に触れうる事例紹介などです。
出せない情報をリスト化して、企画会議や撮影の場で参照できるようにしておきましょう。
線引きを決めずに始めると、公開後に削除対応をしなければいけないという事態に発展する恐れがあります。
企業YouTubeに必要な表現の許容度
ここでは、YouTubeで見てもらえる見せ方を社内がどれだけ許容できるかを見ていきます。
弊社では、YouTubeは視聴者の可処分時間を奪い合う媒体であり、視聴者が暇な時間に楽しむためのプラットフォームだと捉えています。
そのため、企業の発信であっても、一定のエンタメ性がなければそもそも見てもらえません。
企業でYouTubeを活用するためには、この見せ方を受け入れられるかどうかが重要な論点となります。
具体的なチェック項目は以下のとおりです。
- 会社の公式なトーンを崩せるか
- 社内の日常や現場の裏側を見せられるか
- エンタメ性のある企画を社内で通せるか
会社の公式なトーンを崩せるか
画面上の競合は同業他社ではなく、スポーツのハイライトや人気タレントの動画です。
そうした動画と並んだときに選ばれるには、正しいだけの情報ではなく、思わず見たくなる面白さが必要です。
YouTube上であまり求められていないのは、どこかで見たような内容や、きれいにまとまりすぎた優等生的な動画だと弊社では考えています。

弊社セミナー「AIに選ばれるための LLMO×YouTube 最新コンテンツマーケティング戦略」資料より抜粋
いま難しくても、YouTubeは運用しながら方向性を変えられるので、小さな企画から実績を作って社内を説得していくのが現実的です。
社内の日常や現場の裏側を見せられるか
会議の様子、製造や納品の舞台裏、失敗談などは、企業が思う以上に視聴者にとって新鮮に映ります。
機密を明かす必要はまったくなく、「出せるのに、これまで見せてこなかったもの」を見せられるかどうかがポイントです。
完璧に整えた姿だけを見せるより、試行錯誤の過程まで見せるほうが、人となりや働く環境への信頼につながります。
「ここまでは見せる」という範囲を、出演者や現場と決めておくとスムーズです。
抵抗がある場合は、どの範囲なら見せられるかを一緒に探るところから始めましょう。
エンタメ性のある企画を社内で通せるか
真面目な情報を正確に伝えるだけの動画は、最後まで見られません。
とはいえ、派手な企画や体を張った企画は必要なく、重要なのはエンタメ性が自社の事業や発信テーマとつながっていることです。
事業内容から大きく逸れた企画は、「バズったが問い合わせは増えない」状態を招きます。

弊社セミナー「なぜ御社の企業YouTubeは伸びないのか?1,000本の制作・運用支援で見えた3つの落とし穴」資料より抜粋
現実的に有効なのが、業界の裏側や「一般的にはこう言われているが実際はどうか」を扱う知識のエンタメ化で、堅い業種でもエンタメとして成立します。
通らない場合は、「なぜ真面目な解説だけでは見られないのか」という媒体の前提から共有を始めるのがおすすめです。
企業YouTubeを続ける体制の確保
ここでは、中長期的に企業YouTubeの運用を続けられる体制が構築できるかについて確認していきましょう。
具体的なチェック項目は以下のとおりです。
- 責任者が業務時間の20%以上を割けるか
- 撮影・編集の実行手段が決まっているか
- 社内で担う工程と外注する工程を切り分けられているか
- 担当者が交代しても継続できる仕組みがあるか
- 社内決裁が1週間以内に回るか
責任者が業務時間の20%以上を割けるか
チャンネルの責任者が、業務時間の20%以上、週5日勤務なら1日相当をYouTubeに割ける状態かを確認します。
企画会議に半日、撮影の立ち会いと内容確認に半日、これに数字の振り返りや出演者との調整が加わる計算です。
時間だけでなく社内の温度感も重要で、弊社が支援の現場で見ていても、社内に「いいものを作りたい」と思っている人がいるチャンネルは続きやすい傾向があります。
また、YouTubeは長期プロジェクトであるため、企画が目的からずれたときに軌道修正できる責任者がいるかどうかも重要です。
時間の確保が難しい場合は、企画や制作を外部パートナーに任せ、責任者の役割を判断と確認だけに絞りましょう。
撮影・編集の実行手段が決まっているか
撮影と編集を誰がどう実行するのか、手段を決めておくことも必要です。
社内に経験者がいるなら内製でよく、いなければ外注で補えるため、内製にこだわる必要はありません。
また、始めのうちはスマートフォン1台の撮影でも最低限の形にはなります。
「誰かがなんとかするだろう」という状態で始めるのは避けましょう。
社内で担う工程と外注する工程を切り分けられているか
YouTube運用の工程は、企画・撮影・編集・分析でそれぞれ必要なスキルが異なり、すべてを社内で抱え込むと、動画の質が落ちたり投稿が止まったりする原因になります。
外部に任せられる範囲は思っているより広く、制作だけでなく、企画の立案や目的の設定自体も外部と一緒に固めていけます。
そのうえで社内に残しておきたいのは、判断の部分です。
企画や方針が自社の目的に合っているかを見極める役割が社内にあれば、制作を外部と組んでも発信の軸はぶれません。
外注と内製の切り分けがまだできていない場合には、工程ごとの作業量・時間、対応できる人を書き出すところから始めると整理しやすくなります。
担当者が交代しても継続できる仕組みがあるか
熱量のある担当者が異動や退職でいなくなった途端、更新が止まる企業チャンネルは実際に多く見られます。
属人化を防ぐために重要なのは、企画の型・制作フロー・判断基準を文書として残しておくことです。
一人のエースに頼らざるを得ない場合は、外部パートナーの活用も含めた体制の再設計が必要です。
社内決裁が1週間以内に回るか
週1本の投稿ペースを想定すると、決裁に1週間以上かかる企業では制作サイクルそのものが回りません。
決裁が遅い組織では、トレンドを扱う企画も鮮度を失ってしまいます。
最初に決めた方針の範囲内なら、経営会議を通さず責任者の判断で公開できる形にしておくのがおすすめです。
経営会議を通さないと1本も出せない状態なら、決裁フローの見直しが先決です。
企業YouTubeの予算と投資回収
ここで確認したいのは、「費用を確保できるか」、そして「成果が出るまでの期間を投資として許容できるか」です。
3年分の予算が通っていても、半期ごとに投資対効果を判断する仕組みであれば、成果が見え始める前に見直しの対象になります。
いくら使えるかだけでなく、いつ成果を問う会社なのかまで含めて確認しておきましょう。
具体的なチェック項目は以下のとおりです。
- 12ヶ月分の制作・運用費を確保できるか
- 内製の人件費まで含めて費用を比較できているか
- 成果ゼロの期間も投資を続けられるか
- 広告よりYouTubeを選ぶ理由を説明できるか
- 成果が出るまで1年以上待てる経営環境か
- 単年度の売上目標に紐づけていないか
- 撤退基準を開始前に決められるか
12ヶ月分の制作・運用費を確保できるか
企業YouTubeは動画が積み重なるほど見てもらえる機会が増えていく施策のため、弊社では予算も1年単位で見込むことをおすすめしています。
3ヶ月程度の予算で活用を始めると、成果が出る前に予算が尽きて撤退するという、よくある失敗につながります。
制作費に加えて、サムネイル制作・分析・機材などの運用費まで含めて12ヶ月分を見込んでおきましょう。
年間での予算確保が難しい場合は、月あたりの制作本数を減らしてでも一定期間YouTube運用を続けられる体制を構築した方が成果につながりやすくなります。
内製の人件費まで含めて費用を比較できているか
内製は無料に見えがちですが、企画・撮影・編集にかかる社員の時間を人件費に換算すると、決して安くはありません。
たとえば、編集経験のない社員が1本に丸2日かける場合、その2日分の人件費とメイン業務の停滞が実質的なコストとなります。
加えて、慣れない作業は品質が安定するまでに時間がかかるため、立ち上げ期ほど内製の実質コストは高くなりがちです。
内製と外注の費用比較がまだできていない場合は、1本あたりにかかる総時間を見積もることから始めましょう。
成果ゼロの期間も投資を続けられるか
企業YouTubeの立ち上げ期は、再生も問い合わせも少ない状態が数ヶ月単位で続くのが普通です。
ただし、数字が動いていない期間も、視聴者との接点や企業への印象は少しずつ積み上がっている可能性があります。
そのため、事業成果に直結する指標は追いつつも、数値だけを見て早々に「効果ゼロ」と判断しない姿勢が大切です。
立ち上げ期を仕込みの期間として、いつごろどの数字が動き始めるのかを開始前に経営層と擦り合わせておきましょう。
この認識が担当部署だけで止まっていると、成果が出る手前で撤退することになりかねません。
広告よりYouTubeを選ぶ理由を説明できるか
広告は出稿すればすぐ露出が得られる一方、止めた瞬間に露出も消えます。
これに対してYouTubeは、立ち上がりこそ遅いものの、公開した動画が半永久的に残って資産のように積み上がっていきます。

弊社セミナー「広告費ゼロで集客・ファン化を実現!資産として積み上がる企業YouTubeの成長戦略【2026年版】」資料より抜粋
弊社では、この資産性こそが広告にはない企業YouTubeの大きな強みだと捉えています。
実際に弊社が支援したHOUSE REVO様では、Web広告で集客していた時期は顕在層が10〜15%程度だったのに対し、YouTube経由のお客様は28%が顕在層になったという変化がありました。
どちらか一方を選ぶのではなく、短期は広告・中長期はYouTubeという役割分担で説明するのも有効です。
成果が出るまで1年以上待てる経営環境か
多くの企業チャンネルでは、動画の蓄積が効いてくるまでに1年前後を見込んでおくのが無難です。
待てるかどうかは心持ちの問題ではなく、事業計画の中でYouTubeを中長期の投資枠に位置づけられるかどうかで決まります。
半年以内の成果が必須であれば、広告など即効性のある施策を優先するのも手です。
一方で、チャンネルをうまく運用できれば、弊社が支援したクロスリバー様のように、開始から約2ヶ月で登録者10万人に到達する実績が出ることもあります。
単年度の売上目標に紐づけていないか
活用の初年度から売上貢献をコミットさせられると、目先の数字を追う運用になりがちです。
目先の再生数やバズにとらわれすぎると、仮にチャンネルが見られるようになっても、事業の成果につながりづらい状態になりかねません。
初年度は登録者数や視聴維持率といった中間指標で評価し、売上への接続は2年目以降に置くのが健全な設計です。
撤退基準を開始前に決められるか
撤退基準がないと、成果が出ないまま惰性で続くか、逆に一時的な判断でやめてしまい、それまでに積み上げた認知や信頼まで手放してしまうか、どちらかに振れやすくなります。
やめる条件を先に決めておけば、途中で成果を問われたときも、その基準に照らして判断できます。
「18ヶ月継続して目的の指標が基準に届かなければ縮小する」のように、期間と数字をセットで決めておきましょう。
完全な撤退だけでなく、投稿頻度を落として資産を残す「縮小」の選択肢も用意しておくと、極端な意思決定をせずに済みます。
企業YouTube活用のリスクへの備え
ここでは、企業YouTube活用で起こりうるリスクへの対応を決められるかを確認します。
リスクをゼロにすることが目的ではなく、起きたときの動きを決めておけるかがポイントです。
具体的なチェック項目は以下のとおりです。
- 批判コメントへの対応方針があるか
- 出演者の退職時の動画の扱いを決めているか
- 著作権・景表法・薬機法などの確認者がいるか
批判コメントへの対応方針があるか
企業として公開の場に出る以上、否定的な反応を完全に避けることはできません。
公開前の二重チェックや想定される反応の洗い出しをフローに組み込めば、炎上につながるリスクは大きく下げられます。
YouTubeの設定でコメントを事前に確認してから表示する運用もできるため、過度に恐れる必要はありません。
返信する基準・削除や保留の基準・対応に迷ったときの相談先の3つを決めておけば、現場が慌てずに済みます。
出演者の退職時の動画の扱いを決めているか
出演者が辞めるたびに動画を非公開にしていては、積み上げた資産がその都度失われてしまいます。
また、特定の一人だけに出演を集中させず、複数人が出られる企画構成にしておくと、退職時の影響そのものを小さくできます。
出演時に公開継続の同意を書面で取り交わし、退職後の扱いを事前に合意しておきましょう。
ルールを決めずに始めると、退職した本人から削除を求められたときに、明確な判断基準がないままトラブルに発展する恐れがあります。
著作権・景表法・薬機法などの確認者がいるか
BGMや映像素材の著作権、効果効能の表現に関わる景表法・薬機法など、動画には法律の確認ポイントが意外と多くあります。
とくに医療・美容・食品・金融などの業種では、小さな表現一つで行政指導や信頼失墜につながるリスクがあるため注意しなければなりません。
法務担当者がいない場合は、チェックリストを整えて判断に迷うものだけ外部の専門家に相談するのがおすすめです。
企業YouTube活用の導入判断まとめ
本記事では、企業YouTube活用の導入判断チェックリストを8つの観点・34項目で紹介しました。
結果を振り返るときは、クリアした項目数だけでなく、どこにつまずきが偏っているかを見てみてください。
全体の7割以上をクリアしていて、なかでも目的・体制・予算に大きなつまずきがなければ、前向きに検討して問題ありません。
とはいえ、すべてを自社だけで整えてから始める必要はありません。
まずは小さな予算で始めて、走りながら方向性を調整していくこともできますし、外部パートナーへの依頼で解決できる項目も少なくありません。
株式会社Lumiiは、累計1,000本以上の動画制作と企業YouTubeチャンネルの運用を支援してきました。
導入判断の壁打ちから企画・制作・分析まで、一貫して伴走します。
チェックで気になる項目が残った方も、自社に合った始め方を相談したい方も、お気軽にお問い合わせください。


