ブランディング動画は、自社や自社サービスのブランドを映像化して、認知度を高める動画コンテンツです。
商品やサービスが模倣されやすくなり、機能面での差別化が困難な昨今において、ブランドで差別化を図るブランディング動画が非常に注目されています。
本記事では、ブランディング動画の概要、メリット、制作ポイント、活用シーン、制作の流れ、効果の測定方法、費用相場などについて解説します。
ブランディング動画の制作をご検討されている場合には、本記事をお役立ていただければ幸いです。
ブランディング動画(ブランディングムービー)とは?
ブランディング動画(ブランディングムービー)とは、企業や商品・サービスのブランドイメージを向上させる目的で制作される動画です。
商品やサービスの機能面に焦点を当てた動画ではなく、企業理念やビジョンなどをストーリーとともに伝える動画が一般的です。
ブランディングの定義とは
「ブランディング」とは、ブランドを形成するための活動全般のことを指します。
また「ブランド」とは、商品やサービスを識別させるための名称やシンボル、デザインの総称です。
消費者にブランドイメージを定着させるためにブランディングが存在します。
弊社では、ブランディング動画を「企業の想いや価値観という”見えないもの”を、視聴者の心が動く表現に翻訳する動画」と捉えています。
機能や価格といった”見えるもの”を伝える商品紹介動画との一番の違いは、ここにあります。
現場の実感として、ブランディング動画のご相談の多くは「何を一番に訴求すべきか」を自社ではまだ言語化できていない状態から始まります。
実際に当社へも「10項目あるビジョンをどう1本にまとめるか」「企業ブランディングを強めたいが、何から始めればいいか分からない」といった声が届きます。
そのため弊社では、いきなり映像表現の話には入りません。「競合ではなく自社だからこそ言える価値は何か」を一緒に言語化する工程を、制作の起点に置いています。
ブランディング動画を制作する目的
ブランディング動画を制作する目的は、「企業・商品・サービスのブランドイメージを向上し、消費者に選択してもらうこと」です。
近年では、あらゆる商品・サービスが模倣されやすく、機能などのスペック面だけで差別化をするのが難しくなっています。
そのため、企業の歴史や商品・サービスの開発背景などを伝え、ブランドイメージを向上させる取り組みをしている企業が増えています。
ブランディング動画と動画広告の違い
ブランディング動画は、企業や商品の世界観・価値観を伝え、ブランドへの共感や信頼感を醸成することを目的にしています。
ストーリー性や映像美を重視し、長期的なブランド構築に貢献することを目指すのが一般的です。
一方、動画広告は商品の購入や資料請求など、具体的なアクションをすぐに促すことを目的に制作されます。
そのため動画の内容はより具体的で、問い合わせ先のURLや電話番号など、明確なCTAがあることも特徴です。
弊社としては、この2つは成果が見える時間軸が根本的に違うと捉えています。
動画広告は数週間で数字が動きますが、ブランディング動画は数ヶ月から数年をかけて印象が積み上がるものです。
同じ物差しで評価しようとすると、ブランディング動画は「効果がわからない」と判断されてしまいがちなので、制作前に評価の期間まで決めておくことをおすすめします。
ブランディング動画が注目されている背景
ブランディングの一環としてブランディング動画が注目されているのは、「動画」がブランドイメージを伝えるためのコンテンツとして適しているためです。
テキストや画像と異なり、動画は抽象的な概念を視覚化したり、BGMなどでブランドの雰囲気を視聴者に伝えることができます。
またストーリーとともにブランドイメージを伝えることで、印象にも残りやすく、差別化をしやすいという特徴もあります。
ブランディング動画のより詳しいメリットについては、次の章から詳しく解説します。
ブランディング動画の2026年最新トレンド
2026年最新のブランディング動画は、より「共感」を意識した動画がトレンドになっています。
視聴者の価値観や関心に寄り添って、ドキュメンタリー風の動画を制作したり、連続ドラマ形式で動画を制作したりすることが増えています。
またブランディング動画においてもショート動画の活用が加速しており、SNSでのシェアを意識した短尺の動画構成が求められています。
ブランディング動画を制作するメリット
ブランディング動画を制作するメリットは以下の3点です。
- 抽象的なブランドイメージを視覚化して伝えられる
- 競合他社と価格や機能以外で差別化できる
- SNSでの拡散が期待できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
抽象的なブランドイメージを視覚化して伝えられる
ブランディング動画は、抽象的なブランドイメージを視覚化して伝えられます。
企業の理念やビジョンといった抽象的な概念は、テキストで説明しようとすると、どうしても理解が難しいという課題があります。
ブランディング動画であれば、抽象的な概念であっても映像として視聴者に見てもらえるため、理解がしやすくなります。
ブランドイメージを視覚化できることは、ブランディング動画の大きなメリットの一つです。
こうした「文字だけでは伝えきれない」という課題を、実際に動画で解決した企業もあります。
たとえば株式会社近鉄エクスプレス様は、2027年経営計画で掲げた「コーポレートブランド価値の向上」を実現するために動画制作に踏み切りました。
同社広報ご担当者様からは「文字や写真だけでは伝えきれない社員一人ひとりの想いや当社の姿勢をよりリアルに表現できる」と言っていただけました。
競合他社と価格や機能以外で差別化できる
ブランディング動画を活用することで、競合他社と価格や機能以外で差別化することが可能です。
先ほども解説したように、昨今では商品・サービスを簡単に模倣できてしまうので、価格や機能面のみで差別化するのが非常に困難です。
そのような状況においては、企業のブランドイメージで差別化を図ることが重要です。
ブランディング動画を活用することで、視聴者にブランドイメージを印象づけて、競合他社とは異なる存在だと認識してもらえます。
SNSでの拡散が期待できる
ブランディング動画は、SNSでの拡散が期待できるというメリットがあります。
ブランディング動画では、多くの場合、ストーリー性のある動画が用いられるため、視聴者の共感を得やすいという特徴があります。
動画を視聴して感動した視聴者は、他の人にも共有したいという気持ちになり、SNSなどで情報を拡散します。
SNSでブランディング動画が拡散されると、かけた広告費以上に、多くの人々にリーチできるので、費用対効果も高まります。
SNSで拡散されやすいのは、ブランディング動画ならでのメリットといえるでしょう。
ただし、弊社Lumiiの経験上「感動的なストーリーであれば必ず拡散する」わけではありません。
実際に拡散が伸びる動画は、視聴者が「自分ごと」として捉えられる具体的な状況が描かれているケースがほとんどです。
抽象的な理念を語る動画より、特定の誰かの日常を切り取った動画のほうがシェアされやすい。これはブランディング動画を数多く手がけてきた中で繰り返し実感してきた傾向です。
SNS拡散を狙う場合は、企画段階から「誰の共感を取りに行くのか」を明確にしておくことが重要です。
ブランディング動画の制作で期待できる効果
ブランディング動画の制作で期待できる効果は以下の3点です。
- ブランド認知度の向上
- 企業の信頼性の向上
- 優秀な人材の獲得
それぞれの効果について詳しく解説します。
ブランド認知度の向上
ブランディング動画は、視覚と聴覚を通じて企業や商品の世界観を強く印象付けることができます。
そのため、テキストや静止画よりも記憶へ定着しやすく、共感のしやすさからSNSでの拡散も期待できます。
結果として、効果的にブランド認知度の向上を図ることができます。
こうした映像ならではの訴求力は、実際の広告効果としても数字にあらわれています。
Lumiiが支援した健康食品クライアントでは、従来の静止画広告と比較して動画広告のCTRが約3倍、CVRが約1.5倍に向上した実績があり、映像による認知・共感の訴求力の高さを裏付けています。

企業の信頼性の向上
ブランディング動画の制作により企業の信頼性向上も期待できます。
自社工場の内部の様子や品質管理の様子を映像で紹介することで、企業の透明性をアピールすることができます。
また代表者や社員のインタビューを映像化することで、視聴者に会社のリアルなイメージを持ってもらうことができます。
誠実で透明性のある会社であることをアピールすることで、取引先や各ステークホルダーからの信頼獲得につなげることができます。
優秀な人材の獲得
ブランディング動画の制作は、企業の採用力を強化し、優秀な人材を獲得することにもつながります。
ストーリー性のある美しい映像とともに、事業内容や働く人を紹介することで、入社へのモチベーションを高めることができます。
またテキストや静止画だけでは伝えきれないリアルな会社の雰囲気を伝えることで、入社後のミスマッチを防止する効果も期待できます。
実際に、現場のリアルな様子を動画で伝えることで、入社後のギャップ解消につなげた企業もあります。
コスモ石油株式会社堺製油所では、インターンや見学会で学生が実際の装置に触れられないため、「こんなに体を動かす仕事だとは思わなかった」という入社後ギャップの声が出ていました。
そこで高所作業や計器操作のシーンを盛り込んだ採用動画を制作したところ、動画を見た学生から「実際の仕事の様子が想像しやすかった」「働くイメージが湧きました」というポジティブな感想が多数寄せられました。
ブランディング動画の制作ポイント
ブランディング動画の制作ポイントは下記です。
- 競合他社にはない自社だからこその価値を整理する
- 視聴者の共感を得ることを意識する
- 一貫したメッセージを伝える
それぞれ詳しく解説していきます。
競合他社にはない自社だからこその価値を整理する
ブランディング動画を制作する際には、競合他社にはない自社だからこその価値を整理しましょう。
ブランディング動画を制作する場合、企業や商品のどの「価値」をメインで訴求するのかを決めることが非常に重要です。
どれだけ有名なタレントを起用したり、きれいな映像を撮影しても、伝えたい価値が曖昧なままだと、ブランドイメージを適切に伝えることができません。
競合他社の調査も行った上で、自社だからこその価値はどこにあるのかを丁寧に整理することが重要です。
価値を整理する際に私たちが大切にしているのは、自社が言いたいことではなく、顧客が実際にそのブランドを選んでいる理由を軸に置くことです。
作り手が推したい強みと、顧客が心を動かされている点は、必ずしも一致しません。
だからこそ私たちは、社内の思い込みだけで価値を決めず、顧客からどう見えているかという視点を必ず突き合わせながら整理していくことを重視しています。
視聴者の共感を得ることを意識する
ブランディング動画の制作では、視聴者の共感を得ることを意識しましょう。
視聴者の共感を得られるからこそ、ブランドイメージが向上し、SNSなどでも動画が拡散されやすくなります。
視聴者の共感を得るためには、動画にストーリー性を加えて、動画の構成を考えることが重要です。
一貫したメッセージを伝える
ブランディング動画では、一貫したメッセージを伝えましょう。
企業や商品のブランドイメージは一貫性があるからこそ、視聴者に特定の印象を持ってもらうことができます。
企業のWebサイトで発信している内容と動画の内容にズレがあるなど、状況によって発信しているメッセージが異なると、視聴者は混乱してしまいます。
視聴者に伝えたいメッセージにズレがないかを慎重にチェックしながら、ブランディング動画を制作しましょう。
弊社Lumiiが考える一貫性とは、同じ言葉を繰り返すことではなく、動画全体に一本の軸が通っていることです。
場面ごとに見せ方が変わっても、その軸さえぶれていなければ、視聴者には一貫したイメージが伝わります。
逆に、言っていることは揃っていても、映像のトーンやBGMがちぐはぐだと、一貫性は崩れてしまいます。
メッセージの文言だけでなく、映像の空気感まで含めて統一することが重要です。
ブランディング動画の活用シーン
ブランディング動画の活用シーンは主に以下の4つです。
- テレビCM・WebCM・交通広告
- 自社ホームページ・SNS
- イベント・IR・展示会
- インナーブランディング・採用活動
それぞれの活用シーンについて見ていきましょう。
テレビCM・WebCM・交通広告
ブランディング動画が最も多く活用されるシーンは、テレビCMやWebCM、交通広告などの動画広告です。
ブランディング動画は、企業のブランドイメージを認知してもらうことが目的であるため、多くの人にリーチが可能なこれらの媒体はよく活用されます。
ターゲットと相性の良い媒体を選び、動画広告を配信することで、効率的にブランディング動画を視聴してもらえます。
自社ホームページ・SNS
ブランディング動画は自社ホームページやSNSでも活用されます。
自社のホームページやSNSには、企業や企業のサービスに既に興味を持っている人が訪れているため、効果的にブランドイメージを伝えていくことができます。
またSNS上では、動画が拡散されることも多く、より多くの人々にリーチできるというメリットもあります。
ただし私たちは、ホームページとSNSでは同じ動画をそのまま使い回すのではなく、見られ方の違いに合わせて設計することが大切だと考えています。
ホームページに来る人はすでに関心を持って「じっくり見る」のに対し、SNSでは無関心の状態で「流し見」されるのが前提です。
同じブランディング動画でも、SNS向けには冒頭で一気に引き込む編集や短尺版を用意するなど、媒体に合わせて見せ方を変えることで効果は大きく違ってきます。
イベント・IR・展示会
ブランディング動画は、企業のイベントやIR、展示会の場でも活用できます。
イベントの冒頭でブランディング動画を視聴してもらうことで、より企業や商品について理解を深めてもらった状態で、イベントに参加してもらうことができます。
またブランドイメージの向上は、顧客だけでなく投資家に対しても有効です。
Webだけでなく、オフラインの場でも積極的にブランディング動画を活用しましょう。
インナーブランディング・採用活動
ブランディング動画は、インナーブランディングや採用活動で活用されるケースもあります。
企業や商品・サービスの魅力を伝えるブランディング動画は、顧客だけでなく、従業員や求職者の理解を促すことも可能です。
これまで知らなかった企業や商品の新たな魅力を知ることで、会社に対するエンゲージメントを高めることができます。
ブランディング動画の制作の流れ
ブランディング動画は、一般的に次の5つの工程で制作が進みます。
- 目的とターゲットの整理
- 企画・構成の作成
- シナリオ・絵コンテの作成
- 撮影・編集
- 公開
制作期間は案件によりますが、平均すると1.5〜2ヶ月程度が目安です。
ブランディング動画の場合は、2〜3ヶ月程度かかることもあります。
それぞれの工程で何をするのかを順番に見ていきましょう。
目的とターゲットの整理
最初の工程では、映像の話に入る前に「何のために、誰に向けて作るのか」を整理します。
まず決めるのは目的です。
認知を広げたいのか、採用につなげたいのか、商談を後押ししたいのか。
ここが曖昧なままだと、企画の方向性が定まりません。
目的が複数ある場合は、そもそもなぜ動画を作ろうと思ったのかという背景に立ち返ると、どれを優先すべきかが見えてきます。
次に決めるのはターゲット、つまり動画を見てほしい人です。「20代の女性」のように年代や性別で決めるだけでなく、その人がどこで動画を目にするのか(Webサイト・SNS・展示会など)まで具体的にしておくと、企画の精度が上がります。
BtoBの場合は、年代や性別に加えて、「経営者」「現場の担当者」といった相手の役割まで絞っておくと、伝えるべき内容がはっきりします。
企画・構成の作成
目的とターゲットが決まったら、動画で何をどの順番で伝えるかという企画・構成を作ります。
企画でまず決めるのは、動画の核となるメッセージです。伝えたいことをひとつに絞り、それをどのような切り口(開発ストーリー・社員の声・ドキュメンタリーなど)で、どのような順番で見せるかを考えます。
切り口は、ターゲットが「どこで、どんな気持ちで」動画を目にするかに合わせて選びます。たとえば、展示会で流す動画と、SNSで偶然目にする動画とでは、同じメッセージでも適した切り口は変わります。
あわせて、動画で与えたい印象も決めておきましょう。
誠実で落ち着いた雰囲気なのか、大胆で活気のある雰囲気なのか。
この印象によって、色使いやBGM、ナレーションの声質といった表現の方向性が変わります。
企画は1案に絞らず、複数の案を比べながら決めることをおすすめします。
1案だけでは良し悪しの判断がつきにくいためです。
シナリオ・絵コンテの作成
企画が固まったら、シナリオ(ナレーションやセリフの原稿)と絵コンテ(カットごとの画の設計図)を作ります。
弊社では、絵コンテを2段階に分けて作っています。
企画提案の段階ではラフな絵でイメージを共有し、発注後にデザインの細部まで表現した精度の高いものに仕上げます。
絵コンテに入る前には参考動画を集めて演出や表現の方向性をすり合わせておくと、シナリオから絵コンテへの落とし込みがスムーズに進みます。
動画はシナリオ、絵コンテ、編集の順に積み上げて作るため、編集に入ってから構成を大きく変えると、シナリオや絵コンテからやり直すことになります。
そのため、絵コンテの段階で「何をどう撮るか」まで確認しておくことが大切です。
絵コンテを見ただけで完成後の動画がイメージできる状態まで作り込み、撮影前にその完成形を共有できていれば、手戻りは大きく減らせます。
撮影・編集
絵コンテをもとに撮影し、撮った素材を編集して、ナレーション収録やBGMの追加を行います。
撮影で大切なのは、企画で決めた「与えたい印象」が現場で再現できているかです。
出演者の表情や動き、場の空気感がその印象と合っているかを見ながら進めます。
たとえば、「誠実で落ち着いた雰囲気を狙っているのに出演者の表情が硬すぎる」「活気を出したいのに雰囲気が暗い」といったずれがあれば、その場で演出を調整します。
編集は、ナレーションやBGMを入れる前の段階で一度、全体の流れを確認するところから始めます。
この時点で確認するのは、企画段階で決めたメッセージがきちんと伝わるかどうかです。
「最後まで見たときに伝えたかったことが残るか」「途中で話が飛んで見ている人が置いていかれる箇所はないか」といった点を見ていきます。
映像の順番を入れ替えたりカットを差し替えたりする修正は、この段階であれば手間がかかりません。
ナレーションやBGMを入れたあとに構成を変えると、それらも合わせて作り直すことになるため、方向性はここで固めておきます。
WebサイトやSNSなど複数の媒体で使う予定がある場合は、撮影の時点でそれを踏まえておきます。
横型の本編と同じ撮影素材から縦型や短尺版も一緒に作れるため、あとから別に撮り直すよりも費用と期間を抑えられるためです。
具体的には、「縦型に切り出しても被写体が収まるように画面の中央寄りで構図を組む」「切り出し後も画質が保てるように高い解像度で撮っておく」「短尺版の冒頭に使える目を引くカットを押さえておく」といった準備をします。
公開
完成した動画を、ターゲットが目にする媒体で公開します。
公開先は、目的とターゲットを決めた段階で想定した場所(Webサイト・SNS・展示会など)に沿って選びます。
ブランディング動画の効果の測定方法
ブランディング動画の効果は、エンゲージメントの高まりのように数字に表れにくいものが多く、可視化するのは簡単ではありません。
とはいえ「効果がわからない」のまま終わらせてしまうのはもったいないので、効果を測定できる状態にしていくことが大切です。
ここでは、ブランディング動画の効果を測定するための手順を、次の3つに分けて解説します。
- 認知・検討・購入の段階ごとに評価指標を決める
- 評価する期間を決める
- 数字を見て原因を切り分ける
それぞれの手順を順番に見ていきましょう。
認知・検討・購入の段階ごとに評価指標を決める
ブランディング動画の効果は、視聴者が動画を見てから購入に至るまでの間に、段階を追って現れます。
どの段階の効果を見ているのかを意識せずに数字を眺めると、「再生はされたが売上につながったかわからない」という状態になりがちです。
そこで弊社では、視聴者の段階を「認知」「検討」「購入」の3つに分け、それぞれの段階で見る指標を次のように整理しています。
| 段階 | 視聴者の行動 | 動画の役割 | 見る指標 |
| 認知 | 動画を目にし、ブランドや商品の存在を知る | まだ商品を知らない人に、ブランドの世界観や課題への気づきを届ける | 再生回数・インプレッション(表示回数) |
| 検討 | 必要になったときに思い出し、社名やブランド名で検索して調べる | こだわりや背景を伝え、他社との違いに納得してもらう | 指名検索数・完全視聴率・サイトへの遷移率 |
| 購入 | 不安が解消され、購入や問い合わせに進む | 使う場面を具体的に想像してもらい、最後の不安をなくす | CVR(購入率)・CPA(獲得単価) |
公開直後に確認できるのは「認知」の指標です。再生回数とインプレッションで、動画がどれだけの人に届いたかを見ます。
数ヶ月ほど経つと、「検討」の指標に変化が現れはじめます。とくに指名検索数は、社名やブランド名で検索された回数なので、動画をきっかけに商品・サービスを思い出した人の動きが反映されやすい指標です。
その推移は、Googleサーチコンソール(検索語ごとの表示回数やクリック数を確認できる無料ツール)で、社名やブランド名の表示回数を追うことで把握できます。
そのうえで、「購入」の指標が動いているかを確認します。BtoBの場合は購入率ではなく、商談数や問い合わせ数に置き換えて考えます。
評価する期間を決める
評価指標を決めたら、次に決めるのは「いつの時点で効果を評価するか」です。
ブランディング動画は動画広告と違い、印象が積み上がるまでに数ヶ月から年単位の時間がかかります。
視聴者が動画を見た直後に購入を決めることはほとんどなく、日常のなかで必要になった瞬間に「あの動画の会社だ」と思い出し、社名やブランド名で検索して購入に至る、というのが一般的な流れです。
そのため弊社では、印象が積み上がる時間を見込んで、効果を評価するタイミングを公開から少なくとも数ヶ月後に設定しています。
評価するタイミングを決めたら、それまでの期間は指標を変えずに数字を追い続けます。
数字を見て原因を切り分ける
評価の区切りで数字を見て思わしくなければ、原因を3つのどれかに絞ってから直します。
弊社は、動画の反応が悪いときの原因は次の3つのどれかに絞れると考えています。
| 状態 | 疑う場所 |
| そもそも見られていない(再生回数や表示回数が少ない) | 配信の設定(配信先の媒体やターゲットの絞り方) |
| 見られているが、早い段階で離脱される | 動画の中身(冒頭の引き込みや構成) |
| 最後まで見られているが、サイトへの遷移や問い合わせにつながらない | 遷移先のページや、動画内での案内の仕方 |
データから原因が1つに特定できることは少ないため、この3つのうちどの要素が強いかで優先順位をつけ、1つずつ直して数字の変化を見ます。
たとえば、採用向けの動画が最後まで見られているのに応募につながらないなら、動画ではなく見たあとの行き先である採用ページを先に見直します。
ブランディング動画は作り直しの費用が大きいので、配信設定と遷移先から直し、動画そのものの作り直しは最後に検討するのがおすすめです。
ブランディング動画制作の費用・料金相場
ブランディング動画の制作費用相場は以下です。
- 撮影ありの場合:100万円〜300万円
- 撮影なしの場合:10万円〜50万円
ただし、あくまでもブランディング動画の費用相場なので、実際に制作する動画内容によって、金額は異なります。
動画の概算見積もりを知りたい場合には、弊社の「見積もりシミュレーター」をご活用ください。
費用を左右する要因
同じブランディング動画でも、見積もりの金額には幅があります。概算を見るときは、その幅がどこから生まれるのかを知っておくと、金額の妥当性を判断しやすくなります。
弊社で制作した実写インタビュー動画を例にすると、費用の内訳は人件費3割・撮影費2割・編集費3割・その他2割でした。このうち金額が大きく動くのは撮影費と編集費で、撮影の規模と表現の作り込みによって変わります。
費用を左右する主な要素は、次のとおりです。
| 要素 | 費用が上がる方向 |
| 撮影の有無と日数 | 撮影日が増えるほど、カメラマンや照明などの人件費が積み上がる |
| 撮影場所と演出 | ロケ地の手配や、ドローン・特殊機材を使う演出が入るほど費用が加わる |
| 出演者 | キャストやナレーターを起用すると、その費用と拘束時間が加わる |
| 表現の作り込み | CGやアニメーションを足す、キャラクターを描き起こすほど編集の工数が増える |
| 担当するディレクター | 実績のあるディレクターほど単価が上がる |
また、同じ内容の依頼でも、制作会社によって見積もりが違うことがあります。制作にかける人数や、スタッフを社内で抱えているか外部に依頼しているかといった体制が、会社ごとに異なるためです。
見積もりで見落としやすいのが、動画の権利の使用範囲と納品物の範囲です。キャストやBGMの使用料は、使う媒体や期間によって変わるため、あとから使用範囲を広げると追加費用がかかることがあります。また、横型の本編だけの見積もりなのか、縦型や短尺版も含まれているのかによっても金額は変わります。どちらも見積もりの段階で確認しておきましょう。
こうした見落としやすい点を先に提示してくれる制作会社であれば、安心して任せられます。
費用を抑える方法
費用を抑えるときは、企画と戦略にかける時間は削らず、撮影と表現の工夫で調整します。
目的やターゲットが曖昧なまま急いで作った動画は、誰にも刺さらず、費用対効果が下がってしまうためです。
抑え方の例は次のとおりです。
- 撮影のカット数を減らし、写真や既存の素材、アニメーションで代替する
- 1日の撮影で複数本分の素材をまとめて撮り、本編と短尺版を同時に作る
- ナレーションをAI音声にする、背景をAI生成の素材で合成する
ただし、アニメーションへの切り替えは、キャラクターを描き起こす場合にはかえって高くなることもあり、一概に安いとは限りません。
AIを使った例として、弊社が手がけた実写のテレビCMでは、グリーンバックで撮影し、背景をAI生成の素材で合成しました。
ロケ撮影が不要になったことで撮影費・ロケスタジオ費・キャスト費が下がり、制作費は455万円から235万円に抑えられています。
テレビCMの事例ですが、撮影にかかる費用を減らすという考え方は、ブランディング動画でも同じです。
ブランディング動画の制作を外注するメリット
ブランディング動画の制作を外注するメリットは以下の3点です。
- クオリティが高く、信頼感のある動画を制作できる
- 動画制作のプロの視点からアドバイスをもらえる
- 社内の工数を削減できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
クオリティが高く、信頼感のある動画を制作できる
ブランディング動画の制作を外注することで、映像のプロによるクオリティの高い仕上がりを期待できます。
企画作り、撮影、編集、演出まで専門的な技術とノウハウを活用するため、視聴者に与える印象も格段によくなります。
ブランディング動画において映像のクオリティは非常に重要な要素であるため、ブランディング動画の外注には大きなメリットがあるといえます。
動画制作のプロの視点からアドバイスをもらえる
動画制作会社に外注することで、動画制作のプロの視点からアドバイスをもらうことができます。
ブランディング動画の制作実績が豊富な会社であれば、成果につながるポイントを押さえています。
弊社でも、当初いただいたご要望をそのまま形にするのではなく、ヒアリングを重ねる中で「本当に訴求すべき強みは別のところにある」と分かり、企画を提案し直すことは少なくありません。
このように、自社では当たり前すぎて気づけない魅力を、第三者の視点で言語化・映像化できるのが外注の大きなメリットです。
加えて、活用する媒体に合わせた動画構成についてもアドバイス可能なため、より戦略的に動画を活用できるようになります。
社内の工数を削減できる
ブランディング動画の制作を外注することで社内の工数を削減することも可能です。
自社内に動画制作の専門チームがある場合には問題ありませんが、多くの会社では専門のチームを持ちません。
そのため、動画制作におけるあらゆる工程を外注することで、社内のリソースを他の主業務に集中させることができます。
効率性とスピードを求める場合には、動画制作会社に外注するのがおすすめです。
- クオリティの高いブランディング動画の制作実績はあるか
- 自社の事業内容を深く理解した企画になっているか
- 担当者とスムーズなコミュニケーションを取れるか
ブランディング動画制作の外注先の選び方
ブランディング動画制作の外注先を選ぶ際には、以下のポイントを確認することが重要です。
- クオリティの高いブランディング動画の制作実績はあるか
- 自社の事業内容を深く理解した企画になっているか
- 担当者とスムーズなコミュニケーションを取れるか
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
クオリティの高いブランディング動画の制作実績はあるか
ブランディング動画の外注先を選ぶ際には、過去の制作実績を確認し、クオリティの観点で問題がないかを確認しましょう。
映像の美しさももちろん重要ですが、ストーリー性や適切にブランド表現ができているかにも着目しましょう。
自社がイメージしている動画に近しい実績がある場合には、期待通りの品質になる可能性が高いため、そのような実績がないかも見ておきましょう。
自社の事業内容を深く理解した企画になっているか
ブランディング動画の制作では、「企業の想いや価値」を適切に映像化することが重要です。
そのため、表層的な事業理解ではなく、事業内容や強みを深く理解した上で企画を作る必要があります。
ヒアリングの丁寧さや提案内容の具体性を見て、十分に理解してもらえているかを確認しましょう。
担当者とスムーズなコミュニケーションを取れるか
ブランディング動画に限らず、動画制作のプロジェクトでは企画から納品までの過程で何度もやり取りが発生します。
その際に担当者とスムーズにコミュニケーションが取れないと、プロジェクトが思うように進まなくなってしまうリスクがあります。
最悪の場合、納期に間に合わないということも考えられるため、担当者との相性は非常に重要です。
発注前の打ち合わせ段階で、質問への回答が早いか、意図を適切に汲み取ってくれるかなどを確認し、信頼できる担当者であるかを判断しましょう。
ブランディング動画の制作におすすめの動画制作会社は、以下の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。
ブランディング動画の制作事例6選(株式会社Lumii制作動画実績)
ここでは、ブランディング動画の参考事例として、弊社が制作した動画を紹介します。
予算目安も記載しているので、ぜひ参考にしてください。
株式会社マイホム
| 動画の種類 | 実写動画 |
| 予算 | 150万円〜200万円程度 |
| ポイント | アプリの価値を訴求するためのブランディング動画です。メッセージのやり取りを画面上のポップアップで演出するなど工夫を施すことで登場人物に感情移入しやすい動画にしています。 |
Apaman株式会社
| 動画の種類 | 実写動画 |
| 予算 | 100万円〜150万円程度 |
| ポイント | 婚活サービス「JUNOALL」のブランディング動画です。視聴するターゲットの共感を生みやすいように、実際にサービスを利用するシーンを実写で撮影し、映像化しています。 |
メディカル・データ・ビジョン株式会社
| 動画の種類 | 実写動画 |
| 予算 | 150万円〜200万円程度 |
| ポイント | 会社のビジョンを表現したブランディング動画です。実写だけでなく、CGを使いながらテクノロジーを連想させる動画に仕上げています。また効果音を細かく挿入することで、先進性を感じられる動画にしています。 |
株式会社アクティブゲーミングメディア
| 動画の種類 | アニメーション動画 |
| 予算 | 50万円〜70万円程度 |
| ポイント | 企業のブランディングを目的にしたブランディング動画です。自社ならではの企業方針や事業内容などを、ブランドイメージに合わせたポップな動画で表現しています。 |
株式会社東京チェンソーズ
| 動画の種類 | 実写動画 |
| 予算 | 50万円〜70万円程度 |
| ポイント | 事業を紹介するブランディング動画を制作しました。林業であることを印象づけるために、ドローンを利用して森や木のカットを多く使っています。 |
株式会社サテライトオフィス
| 動画の種類 | 実写動画 |
| 予算 | 50万円〜70万円程度 |
| ポイント | オートバイレーサーの山中琉聖選手を起用したブランディング動画を制作しました。エンジン音を積極的に取り入れ、オートバイレースの臨場感を演出する動画に仕上げました。 |
ブランディング動画を制作して効果的なイメージアップを図ろう
本記事では、ブランディング動画の概要、メリット、制作ポイント、活用シーン、制作の流れ、効果の測定方法、制作事例、費用相場などについて紹介しました。
企業や商品・サービスの想いを届けられるブランディング動画は、昨今非常に注目されている動画コンテンツの一つです。
本記事を参考にして、ブランドイメージをアップさせるブランディング動画を制作してみましょう。
ブランディング動画の制作に関するよくあるご質問
ここでは、ブランディング動画の制作に関するよくあるご質問に回答します。
「ブランディング」の意味について教えてください。
「ブランディング」とは、ブランドを形成するための活動全般のことを指します。
企業や商品・サービスなどのブランドイメージを向上させるあらゆる活動がブランディングに含まれます。
ブランディング動画とは何ですか?
ブランディング動画とは、企業や商品・サービスのブランドイメージを向上させる目的で制作される動画です。
詳しくは「[ブランディング動画(ブランディングムービー)とは?](#i)」をご覧ください。
ブランディング動画を制作するメリットは何ですか?
ブランディング動画を制作するメリットは以下の3点です。
- 抽象的なブランドイメージを視覚化して伝えられる
- 競合他社と価格や機能以外で差別化できる
- SNSでの拡散が期待できる
詳しくは「[ブランディング動画を制作するメリット](#i-2)」をご覧ください。
ブランディング動画の制作ポイントは何ですか?
ブランディング動画の制作ポイントは下記です。
- 競合他社にはない自社だからこその価値を整理する
- 視聴者の共感を得ることを意識する
- 一貫したメッセージを伝える
詳しくは「[ブランディング動画の制作ポイント](#i-4)」をご覧ください。
ブランディング動画にはどのような活用シーンがありますか?
ブランディング動画の主な活用シーンは以下です。
- テレビCM・WebCM・交通広告
- 自社ホームページ・SNS
- イベント・IR・展示会
- インナーブランディング・採用活動
詳しくは「[ブランディング動画の活用シーン](#i-5)」をご覧ください。
ブランディング動画の制作費用はいくらですか?
ブランディング動画の制作費用の相場は以下です。
- 撮影ありの場合:100万円〜300万円
- 撮影なしの場合:10万円〜50万円
実際に制作するブランディング動画の内容によって制作費用は異なります。
詳しくは「[ブランディング動画制作の費用・料金相場](#i-8)」をご覧ください。
ブランディング動画とコンセプトムービー・ブランデッドムービーの違いは何ですか?
ブランディング動画は、企業や商品のブランドイメージそのものを高めるための動画です。
コンセプトムービーは、新商品やサービス、イベントなどの「コンセプト(考え方や世界観)」を短く伝える動画です。
ブランド全体ではなく、1つの企画に対象が絞られる点がブランディング動画と異なります。
ブランデッドムービーは、商品の宣伝を前面に出さず、ブランドが提供する短編映画やドラマのようなコンテンツを指します。
ブランディング動画がブランドの魅力を伝えることを目的とするのに対し、ブランデッドムービーは作品として楽しんでもらうこと自体を通して、ブランドへの好意を育てます。
どれもブランドへの共感を目的にしている点は共通していますが、コンセプトムービーは伝える対象の広さ、ブランデッドムービーは宣伝色をどこまで出すかという点で、ブランディング動画と区別されます。

