株式会社ミツカリは適性検査とエンゲージメントサーベイツール「ミツカリ」を通じて社会全体の適材適所を目指すHR Tech企業です。
今回のインタビューでは、株式会社ミツカリのマーケティング部マネージャーである山口彰太様にサービスの詳細や同社が今後目指すビジョンについて伺いました。
インタビュイー
山口 彰太
株式会社ミツカリ
マーケティング部 マネージャー
EC事業会社、ECコンサルティングを経て、2017年4月にソフトウェアエンジニアとして入社。同年7月にマーケティング部門を立ち上げ、責任者に就任。30万人以上の適性検査結果を用いた人材データ分析や、個社別のピープルアナリティクス支援も行っている。人事データ保護士。
「社会全体の適材適所」を目指す株式会社ミツカリ
御社の事業内容をご紹介いただけますでしょうか?
当社は、BtoB向けのHR Techサービス「ミツカリ」の開発と運営を行っています。ミツカリは人事担当者や経営者の方などが利用することを想定して作られています。
また企業向けに研修を行ったり、機械学習を活用したデータ分析の支援を提供したりすることもあります。
山口さんはどのようなことをご担当されているのでしょうか?
私はマーケティング部のマネージャーを務めており、主にマーケティング業務全般を担当しています。
具体的には、デジタルマーケティングを始め、展示会への出展や、オフラインイベントの運営など、幅広くマーケティング活動を管理しています。
適性検査によって、企業の人事課題を解決する
「ミツカリ」はどのようなサービスですか?
ミツカリは、適性検査とエンゲージメントサーベイによって、さまざまな人事課題を解決するHR Techサービスです。
従来の適性検査は求職者だけを評価対象とし、人事担当者や面接官が「我々の会社に合うかどうか」を経験や感覚で判断してきました。
その結果、担当者によってパフォーマンスにばらつきが生まれてしまい、「上司と合わなかった、会社に馴染めなかった」といった理由の離職が長年の課題となっています。
そこで、我々は適性検査を通じて得られるデータを用いて、求職者と部署、チーム、上司との相性を客観的に判断できるようにしました。
またこれらのデータを採用だけでなく、あらゆる人事戦略に活用してもらうことが可能です。
どのようなきっかけからスタートされたサービスなのでしょうか?
当社の代表が前職で外資系金融機関の面接官を務めていた経験がきっかけとなっています。
当時、面接で高く評価したにもかかわらず、採用後すぐに辞めてしまうケースがあり、その経験から、代表は採用の評価と実際の職場での活躍には必ずしも相関関係がないことに気がつきました。
その後、債券のデータ分析同様に、採用活動においても高度なデータ分析が必要だと考え、採用活動のデータ分析を重ねていきました。
代表は外資系金融機関を退職した後、留学をしていたのですが、その際に性格や価値観が似ている人同士を組み合わせると、離職率が下がるという論文に出会いました。
このシンプルながらも重要な発見を、実社会の採用活動に応用するためにシステム化を試みました。
これがミツカリの始まりであり、多くの企業の人事課題を解決するためのサービスとなることを目指してスタートしました。
適性検査やエンゲージメントサーベイはさまざまなサービスがあるかと思うのですが、他サービスと比較した際の「ミツカリ」ならではの強みについて教えてください。
私たちのサービスの最大の強みは、「気軽に使える」「成果につながる」「人材に活躍してもらえる」点にあります。
まず「気軽に使える」点に関しては、従業員が適性検査を受ける時間を大きく取られないように配慮しています。
従来の適性検査が30分以上かかることが多い中で、私たちの適性検査は10分程度、エンゲージメントサーベイであれば1分程度で回答できるような設計にしています。
また直感的に操作できるデザインを心掛けており、久々に利用する場合や初めての利用者でも簡単に扱えるようにしています。
次に「成果につながる」ですが、私たちは特に離職率の改善において豊富な事例を持っています。
離職率の改善は、入社直後ではなく、1年や3年といった時間が経過した後にその効果が明確になるため、長期間にわたる運用経験が重要です。
私たちのサービスは長く運営されており、その成果に関しても多くの検証が行われています。
また適性検査によくある専門的な用語を使わず、より分かりやすい表現を心掛けています。
例えば、「外向型」といった専門用語ではなく、「人と接するのが好き」といった日常的な言葉を使い、新入社員の特性を理解しやすくしています。
最後に「人材に活躍してもらえる」点ですが、ミツカリは単に人材を選ぶためのものではなく、その人材が活躍できるようにするための視点で設計されています。
適性検査は通常、採用時の選別ツールとして利用されがちですが、求職者が良いか悪いかを評価するのではなく、会社やチームに合うか合わないかを評価します。
従来の適性検査と比較すると、個々の特性に応じた最適な環境を提供することを目指している点が大きな違いです。
サービス導入により離職率が36%から5%に減少
「ミツカリ」を導入された企業ではどのような効果が生まれていますか?
導入された企業での効果について、具体的な例を挙げると、特に顕著なのが離職率の改善です。
例えば、導入前には離職率が36%だった企業が、ミツカリの導入後に離職率が5%まで減少したケースもあります。
多くの企業で、従来の離職率を2分の1以下に改善することに成功しています。
また私たちのサービスの核となるのは、離職率を直接改善することよりも、人間関係の相性を分析し、信頼関係の構築を支援することにあります。
このアプローチによって、コミュニケーションが活性化され、結果として生産性の向上にも繋がっています。
さらに、人間関係の悩みが解消されることで、メンタルヘルスの問題が予防されるなど、多くのポジティブな効果が生まれています。
特徴的な機能として、コミュニケーションのアドバイス機能があるかと思いますが、アドバイスをうまく活用するポイントなどはありますか?
当社のツールは直感的に利用できることを心がけているので、コミュニケーションのアドバイス機能では、具体的な行動を提案するようにしています。
たとえば、「Aさんには結論から話しましょう。」「Bさんには最初に思いやりを示しましょう。」と、個人の性格に合わせたコミュニケーション方法を提示します。
さらに、良い接し方だけでなく、避けるべき接し方も示しています。たとえば、Aさんには結論から話すことが適していますが、Bさんに対しては結論から話すと苦痛を与えてしまう可能性があるなど、注意点も提供しています。
人は無意識に自分の得意なコミュニケーションスタイルを用いてしまいますが、相手によってはそれが適さない場合もあります。
そのため、まずは自分のコミュニケーションスタイルを理解し、固執せず、相手に合わせて接し方を変える意識を持つことが大切です。
限りある資源を最大限活用できるサービスへ
今後の展望について教えてください。
私たちは適性検査によって性格や価値観といった変わりにくい要素と、エンゲージメントサーベイや従業員満足度調査などで得られる日々変化する可能性のある要素を日々収集しています。
これらのデータを組み合わせて分析し、コミュニケーションの改善や配置・配属の判断などに活用しています。
今後は、この分析の精度をさらに高めていくことを目指しています。具体的には、エンゲージメントが高まりやすい人とそうでない人の特性をより詳細に分析し、その知見を活用して個々の従業員に最適な対策を施します。
現在はまだ検証段階にあり、より多くのデータが必要ですが、将来的には人事評価やスキルなどの新しいデータも組み合わせることで、当社が目指している「社会全体の適材適所」を実現できるようなサービスを展開していく予定です。
読者の方に一言メッセージをお願いします。
適性検査やその他の人事サービスは、「人を選ぶ」ために使われることが多いですが、多くの企業が人手不足に悩まされており、実際には適切な人を選ぶことが非常に難しくなっています。
そこで、私たちは「限りある資源を最大限に活用する」という視点でサービスを開発しています。
従業員が生き生きと働き、自身の能力を発揮して活躍できる職場環境を実現することにご興味があれば、ぜひミツカリをご活用いただけると嬉しいです。