独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)は、国の中小企業政策の中核的な実施機関として、起業・創業期から成長期、成熟期に至るまで、企業の成長ステージに合わせた幅広い支援メニューを提供しています。
同社の「中小企業大学校」では、経営者・管理者向けの専門的な研修サービスを受講できます。
今回のインタビューでは、同社の関東本部人材支援部係員である上江洲達怜様に「中小企業大学校」の特徴や、受講により得られる効果について伺いました。
インタビュイー
上江洲 達怜
独立行政法人中小企業基盤整備機構
関東本部人材支援部 係員
2019年に入構。同年度から現部署への配属。中小企業の経営者・管理者層向けの研修の企画・運営に従事。その中でも、企業のみなさまの在勤事務所や自宅の最寄りで研修を受講することができる「サテライト・ゼミ」の開催研修を多くの地域で展開させるため、広報や営業業務を強化している。
起業から成長期、成熟期に至るまで幅広いメニューで中小企業を支援
まず御社の事業内容からご紹介いただけますでしょうか?
中小機構は、国の中小企業政策の中核的な実施機関として、起業・創業期から成長期、成熟期に至るまで、企業の成長ステージに合わせた幅広い支援メニューを提供しています。
地域の自治体や支援機関、国内外の他の政府系機関と連携しながら中小企業の成長をサポートしています。
上江洲さんはどのようなことをご担当されているのでしょうか?
私は中小企業基盤整備機構関東本部に所属しています。
関東本部では、人材支援部に所属していまして、中小企業の経営者並びに従業員の方々の人材育成支援を担当しています。具体的には、当機構の「中小企業大学校」で実施している研修を関東・甲信越の各地域で展開する業務を行っています。
専門性の高い実践的な研修を受けられる「中小企業大学校」
「中小企業大学校」ではどのようなことについて学べるのでしょうか?
中小企業大学校では、経営者や管理者層の方々向けに専門性の高い実践的な研修メニューを提供しています。
たとえば役職の階層に合わせた「階層別研修」や、「企業経営・経営戦略」「人事・組織」「財務管理」「営業・マーケティング」「生産管理」など専門分野に関する研修も受けていただくことが可能です。
また地域の中小企業を支える商工会議所様にも研修メニューを提供しており、地域全体の中小企業支援の底上げにも力を入れています。
「中小企業大学校」の研修講師はどのような方々なのでしょうか?
企業支援の実績や専門分野に対する知見とノウハウを有する中小企業診断士、税理士、大学教授、企業経営者など、中小企業の目線で実務に即して講義ができる方を人選しています。
専門知識の習得だけではなく、新たなネットワークも生まれる
実際に研修を受講された企業ではどのような効果が生まれていますか?
経営者・管理者層向けの専門知識を習得して仕事に活かせるのはもちろんのこと、研修を通じて新たなネットワークを作れます。
たとえば先ほどお伝えした経営後継者研修は約10ヶ月間の長期研修なので、研修以外でコミュニケーションを取る機会も非常に多いです。
また、社長や経営幹部としてご活躍されている卒業生は全国に800人以上いらっしゃいます。
「社長」というポジション上、社内ではなかなか相談できる相手がいないことも多いので、中小企業大学校卒業生のネットワークで他の経営者に対して相談できることは大きな価値があります。
研修で学べる以外にも、そのような効果もあるのですね。
はい。これが2、3日間の研修だったとしても効果はあります。
たとえばより身近な場所で研修を受けていただける「サテライト・ゼミ」を展開しているのですが、そこでは地域で活動している企業が多く集まります。
サテライト・ゼミで新たな企業と出会い、研修がきっかけとなり、お仕事につながることもあります。
また管理者層向けの研修では、部長同士や課長同士など、同じ役職同士の方と交流できるきっかけにもなりますね。
研修リソースが足りない企業におすすめのサービス
御社の研修はどのような企業におすすめでしょうか?
人材育成でお困りの企業様や、専門知識のインプットをしたい企業様におすすめです。
大企業であれば、社内の人事部などが研修を担当することも多いと思うのですが、中小企業だとなかなか研修まで手を回せないことが多いかと思います。
また仮に研修を用意できたとしても、「生産管理」や「営業・マーケティング」のような専門分野の研修になるとハードルが高くなってしまいますよね。
中小企業大学校の研修をご利用いただくことで、社内の業務負担が軽減でき、より質の高い研修を受けていただけます。
受講する場合には、どの程度の費用がかかるのでしょうか?
受講時間などによって費用は変わりますが、たとえば2日間(12時間)の研修ですと、1人あたり22,000円です。
ただ、自治体などの公的助成制度に申請していただくことで、研修費用の一部を負担してもらえる可能性があります。
また助成金によっては、研修によって業務ができなかった分を一部補填してもらえるようなものもあります。
助成制度をご活用いただくことで、非常にお得な価格で研修を受けていただけるので、ご興味があればぜひ各窓口に相談してみてください。
「サテライト・ゼミ」を充実させ、研修をより受けやすくする環境を作りたい
今後の新たな取り組みについてお伺いできますでしょうか?
今後は当課が特に取り組んでいる「サテライト・ゼミ」をより充実させていくことで、研修が受けやすい環境作りを進めていきたいです。
サテライト・ゼミは各地域の支援機関(商工会議所や金融機関等)と共催している研修になります。例えば、今回Luumiさんに撮影いただいた柏商工会議所様と行ったサテライト・ゼミでは、柏市内の企業様の参加が中心でした。支援機関様の会場は、参加される方のご自宅や会社の近くですので、お気軽に研修を受講いただけます。
これまで以上に学びのニーズも多様化しているので、しっかりとニーズにお応えしていきたいですね。
最後に読者の方に一言メッセージをお願いします。
過去の受講生の方にお聞きしたところ、申し込み前は、「中小企業大学校」という名前から敷居の高さを感じているようでした。
中小企業大学校の研修は、どのような規模の中小企業でも受講いただける内容となっていますので、ハードルを高く感じていただく必要は一切ありません。
新年度や昇進が発生するタイミングなどで、ぜひご活用いただけると嬉しく思っています。