VIPソフトウェア株式会社は、個人事業主から大手企業まであらゆる段階の企業のシステム開発を行う企業です。また同社ではさまざまな自社プロダクト開発も手掛けています。
今回のインタビューでは、同社の提供するクラウドERP「事務SOL」について、取締役を務める岡田郁二様にお話を伺いしました。
インタビュイー
岡田 郁二
VIPソフトウェア株式会社
取締役 管理本部長
大学卒業後、当時3大ブラック業界と言われていたOA販売業界で営業職に従事する。4年間の下積みの後、IT業界に転職する。ITの将来性に魅力を感じ仲間3名で起業する。設立以降20期連続で黒字、無借金経営を継続する。その中で培った経営の本質をITを駆使して中小企業に広める活動に従事する。
個人事業主から大手上場企業まであらゆる段階のシステム開発を支援
御社の事業内容について教えてください。
当社は、個人事業主から大手上場企業まで、あらゆる段階の企業のシステム開発を担っています。
世の中には、大手企業向けのサービスは数多くありますし、中小企業向けのサービスも存在しますが、これら両方をカバーできる企業は珍しいのが現状です。
そこで、私たちは北欧の社会保障制度に見られる「揺りかごから墓場まで」という考え方を事業の理念として掲げ、独立したばかりの個人事業主や小規模な会社から、大企業や上場企業に至るまで、あらゆる段階の企業のシステム開発を支援することを目指しています。
岡田さんのご担当領域について教えてください。
私は主に1人企業から100人未満の中小企業を対象としたソフトウェアサービスの販売・マーケティングを担当しています。
無料から導入可能なクラウドERP「事務SOL」
「事務SOL」とはどのようなサービスなのでしょうか？
「事務SOL」は簡単に言えばクラウドERPです。機能の追加を続けており、社員管理、給与計算、見積書・契約書・請求書の作成、入出金管理などの事務処理を一手に担います。
経営者が顧客ごとの売上や、資金繰りなどを一目で確認できるような、包括的なバックオフィスサービスを提供しています。さらに、Web明細機能や、紙・電子契約を不要にするEDI機能の追加も進めています。
事務SOLを導入すれば、他の単品システムを購入する必要がなくなるような、オールインワンのシステムを目指しています。
さまざまなクラウドERPがある中で、事務SOLならではの特徴について教えてください。
事務SOLの一番の特徴は、無料から始められる点です。特に1人社長や個人事業主、10人以下の小規模な会社にとって、この点は大きなメリットです。
少子高齢化が進む日本の社会においては、生産性を上げなければ収益向上は望めません。小規模な会社が費用をかけずに生産性を上げていけるよう、事務SOLを無料で提供しています。
さらに、企業が成長していく過程でも、基本パッケージは3ユーザー月額9,800円と、低コストで導入することが可能です。
また私たちのクラウドERPの最大の利点は、財務と人事管理を1つのシステムで行えることです。これにより、売上と利益を増やす仕組みを整えることができ、企業の成長を実現できます。
将来的に企業がさらに大きく成長し、上場などの段階に達した際には、当社の大手向けシステム開発部門がカスタマイズされた内部システムの開発を担います。
これが私たちの「揺りかごから墓場まで」のコンセプトです。お客様がどの成長段階にあっても、一貫してサポートすることが可能です。
どのようなきっかけから提供を始められたサービスなのでしょうか？
事務SOLの原型となっているのは、当社の社内システムです。創業当初は、私が1人で経理業務、給与計算、見積もりや契約書の作成、入出金管理などを行っていました。
当時はすべてエクセルで管理していたのですが、社員数が30人、40人と増えていくにつれ、エクセルだけでの管理では月初の1週間、他の仕事が全く手につかない状態になりました。
私たちの本業がITを駆使して大手企業の業務を効率化することであるにも関わらず、自社の業務はアナログで非効率でした。
そこで、私が経験した中小企業のバックオフィス業務を仕様書に落とし込み、当社の技術者に社内のERPシステムを開発してもらいました。このシステム導入により、かつて1週間かかっていた作業がたった3時間で完了するようになりました。
この画期的なシステムを他の中小企業にも広めたいという思いから、私たちは事務SOLを本格的にサービス化しました。
また事務SOLの立ち上げは、リーマンショックでの経験もきっかけとなっています。あの時期には、私の友人の会社を含め、多くの企業が倒産しました。
倒産してしまった会社に話を聞くと、どんぶり勘定で大雑把な財務管理をしている企業がほとんどでした。
この経験から、当社が開発したシステムを広めることで、利益を上げて安定した経営を行う企業を増やすことができると確信し、サービス開発を進めてきました。
事務SOLの導入により経営が安定する
導入された企業ではどのような効果が生まれていますか？
当社と同業のある企業様は、事務SOLの導入により、売上規模を3倍以上拡大することに成功しました。システム導入により、人材と資源の管理が容易になり、経営判断がしやすくなった結果です。
また別の会社では、人事評価や給与、賞与の決定が一律で行われていたことにより、社内に不満が生じていました。事務SOLを導入したことで、スタッフごとの売上が明確化され、実績に基づいた昇給や賞与の配分が可能になり、結果的に離職率が下がりました。
さらに、ビジネスコミュニティで出会った若い起業家たちに事務SOLの無料版を使ってもらったところ、会社が立ち直り、順調な成長を遂げるようになりました。
このように、事務SOLを導入した企業は、経営の安定化と成長を実現しています。
どのような企業におすすめでしょうか？
事務SOLは1人社長や個人事務主から100人以下の中小企業を主なターゲットとしています。
これには明確な理由があります。
100人以下の多くの中小企業では、簿記資格などの専門知識を持たない方が経理担当を務めています。それによって、多くの経理ミスが発生し、結果として月次決算の遅れにつながることがあります。そして、月次決算が遅れると正しい経営判断ができなくなり、業績不振につながってしまうのです。
当社のシステムでは、会計データをCSV形式で簡単に出力し、顧問税理士に送ることができます。これにより、税理士はデータを迅速に処理し、月次決算を5営業日以内に完了させることが可能になります。
このようにして、自社の財務状況を効率的に管理することができるようになると、自然と経営は安定するようになります。
日本全国の企業に事務SOLを無料で使ってもらいたい
今後の展望について伺えると嬉しいです。
当社は、日本全国に約360万社あると言われる全ての企業に、事務SOLを無料で使っていただきたいと思っています。GmailやFacebookのようなサービスが無料で提供され、多くの人々に便利さをもたらしたように、我々のサービスも無料で多くの企業に使ってもらいたいのです。
日本のIT企業が提供する多くのシステムは高額で、大手企業のみがその恩恵を受け、中小零細企業が取り残されてしまっているのが現状です。日本が直面している少子高齢化やIT化の遅れ、低い生産性などの問題を解決するためには、私たちのようなITサービスが重要な役割を果たすと信じています。
今後は、EDIの開発を通じて、紙やPDF、電子契約を不要にし、受発注や契約プロセスを完全にデジタル化することを目指しています。これにより、バックオフィス業務が大幅に効率化され、メールやLINEのように簡単に業務が完結するようになります。
私たちの究極の目標は、日本全体をDXすることであり、将来的には国や大企業とも連携し、決算や社会保険の手続き、サプライチェーン管理なども私たちのサービスを通じて行えるようにしたいと思っています。
読者の方に一言メッセージをお願いします。
私たちは、倒産する会社をゼロにすることをミッションとして掲げています。
事務SOLを導入することで、「ヒト・モノ・カネ」の管理が効率化され、利益を上げる企業へと変革していくことができます。事務SOLは1ユーザーまで無料で使用できるので、ぜひ使ってみていただきたいです。
倒産しない強い会社を作り、共に日本を盛り上げていきましょう。
